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長野五輪の施設が大幅赤字で休止。
3種目の運命、そして東京は大丈夫?

posted2018/01/23 08:00

 
長野五輪の施設が大幅赤字で休止。3種目の運命、そして東京は大丈夫?<Number Web> photograph by Kyodo News

長野五輪では多くの名場面を生んだスパイラルだが、その後の経営はバラ色ではなかった。

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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 12月下旬から1月上旬にかけて、リュージュ、スケルトン、ボブスレーの全日本選手権が長野市の「ボブスレー・リュージュパーク(スパイラル)」で相次いで開催された。

 実はスパイラルでの開催は、これが最後となる。今シーズンをもって、施設が休止となるからだ。

 問題はスパイラルが国内で唯一の、これらの競技の施設であることだ。来シーズンの全日本選手権の開催は未定だが、ただ1つの競技施設が失われることで、全日本選手権そのものもなくなる可能性も十分にある。リュージュについてはコースがないわけではないが、国際規格には合致していない。

 どの競技でも、国内最高の大会は全日本選手権である。それがなくなる危機、そして1998年の長野五輪のボブスレー・リュージュ会場でもあったスパイラルの休止は、競技の厳しい将来を予想させる。

冬季競技の施設は、維持に大きなお金がかかる。

 スパイラルの休止が決まったのは、昨年4月4日のことだ。理由は、維持管理費の負担だった。

 以前スパイラルを訪れたとき、当時施設に勤務しながらスケルトンに打ち込んでいた大向(当時)貴子はこう語っていた。

「赤字が大きくて、運営の面で難しいところがあるんです」

 まずは整備にかかる手間が大きい。1年の中で、氷を張って利用する期間は冬場の2カ月ほど。

「シーズン中はコースに水をまいて凍らせていき、5cmほどの厚さにします。それを職人さんが開園前の朝と終わったあとの夜の1日2回、特殊なカンナを使って削ります。でこぼこだと滑りにくくなるからです。コース全部を整えるには、30人前後の人手がかかります」

 コースには白いパイプも張り巡らされている。不凍液を流し、氷が溶けないための仕組みだ。

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