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アメリカからBリーグ逆輸入、田渡凌。
苦戦中の横浜で感じる生きがいとは。
posted2017/11/03 08:00
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
AFLO
ルーキーながら、24歳。Bリーグで特異な存在である男は、何かを変える力を秘めているのだろうか。
日本への凱旋帰国という形で、“ビーコル”の愛称で知られる横浜ビー・コルセアーズに鳴り物入りで加入したのが田渡凌だ。
田渡は京北中3年生の時、中学ナンバーワンを決める全中決勝で、富樫勇樹(現千葉ジェッツふなばし)のいた本丸中学と対戦。富樫とともに大量得点を記録するなど当時から将来を嘱望される存在だった。高校卒業後にアメリカにわたると浪人生活を経て、オローニ短大からNCAA2部のドミニカン大学へ進んだ。
特筆すべきはオローニ短大でも、ドミニカン大学でも日本人ながらキャプテンを務めたことだ。
「今はどんな環境に行っても心配はない」
オローニ短大でキャプテンに選ばれたときには、こう言われた。
「チームで一番頑張っているのがリョウだし、結果も出してくれているから選んだんだ!」
田渡も後に、当時をこう振り返っている。
「どうやったら一番成長できるかを考えて、生活してきた日々でした。日常生活を含めて他の誰よりも努力してきた自信があるので、今はどんな環境に行っても何の心配もありません」
ビーコルは昨シーズン、B1・B2入れ替え戦プレーオフの末に残留を決めた。それでもポイントガード(PG)として田渡は加入を決断した。言い換えれば、ビーコルが苦しい戦いを味わったことが、加入を決める最大の理由だった。
きっかけは信頼を寄せるエージェントから、日本を代表する歴代PGの話を聞いたことだった。彼らはみな強豪とは言えないチームを強くしていく過程で、日本を代表するPGになっていった、と。