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アメリカからBリーグ逆輸入、田渡凌。
苦戦中の横浜で感じる生きがいとは。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2017/11/03 08:00
田渡はユニバーシアード代表に選ばれるなど、今後の日本バスケ界を背負っていく有望株の1人だ。
主力2人が立て続けにアキレス腱断裂の苦境。
節政貴弘、佐古賢一。最近では、加入初年度はJBL7位だった東芝(現川崎ブレイブサンダース)の篠山竜青もそうだろう。エージェントの言葉を聞いて、心に響くものがあり、それほど迷うことなく腹をくくった。
「もちろん良い方向にいくか、悪い方向にいくかわからないというリスクはあるのかもしれないです。だけど、自分がこのチームにどれだけ貢献できるか、自分に対して挑戦したかったという想いがあります。それに、その中でも『俺はやれるんだ』という自信がなければ(ビーコルに)来ていないので」
横浜は今シーズンも、序盤戦から苦戦を強いられている。さらに10月には今季からキャプテンに就任した湊谷安玲久司朱(みなとや・あれくしす)と大黒柱のセンター、ジェイソン・ウォッシュバーンが相次いでアキレス腱を断裂するという苦難にあった。
11試合を終えて2勝9敗。中地区だけではなく、リーグ全体でも最下位に沈んでいる。
1試合ほとんどの時間でマンツーマンではなくゾーンディフェンスを採用する奇策を用いることもあったが、簡単には実を結ばない。10月28日に連敗を7で止めたものの、翌日にはまた敗戦を喫している。
開始5分あまりでの交代に、沈黙できなかった。
ただ、田渡は指をくわえて状況を眺めているわけではない。
10月29日、サンロッカーズ渋谷戦でのこと。7試合連続でスターティングメンバーに名を連ねた田渡は、わずか5分あまりで交代。予想よりも早いタイミングでの交代を命じられた。
これは今シーズンから就任した古田悟ヘッドコーチ(HC)の「タイムシェアをする」コンセプトに起因する。スターティングメンバーを固定することなく、多くの選手で出場時間を分け合っていくスタイルだ。
田渡自身、その方針自体は理解していた。ただ、自分に何が足りないのか、あるいは何をしなければならないのか。黙っていても前には進めない。何より沈黙することは、チームを良くするための働きかけを何もしてないことになると考えた。