フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
17歳ネイサン・チェン、
新記録で全米選手権初タイトル。
posted2017/01/24 11:30
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph by
AFLO
1月14日からミズーリ州カンザスシティで開催されていた全米選手権で、22日にシニア男子フリーが行われ、17歳のネイサン・チェンが初のシニア男子全米タイトルを射止めた。
12月にマルセイユで開催されたGPファイナルではフリーで羽生結弦を上回るスコアを出し、総合2位に食い込んだチェン。今シーズン初挑戦したGPシリーズでファイナルの表彰台に乗り、現在もっとも注目されている若手選手の1人である。
全米選手権では、国内大会なのでISUの公式記録には残らないものの、何と総合318.47という高いスコアを叩き出した。もちろんSP、フリーとも全米選手権の歴代最高スコアの更新である。
SPでは全米選手権史上初の100点越え。
GPシリーズではSPで苦戦したチェンだったが、全米ではほぼ完璧な演技を見せた。バレエ音楽『海賊』のドラマチックなメロディにのり、4ルッツ+3トウループ、4フリップ、そして苦手な3アクセルもしっかりときめ、106.39と全米選手権史上初の100点越えを果たした。
ジャンプだけではなく、ダンスのトレーニングで鍛えたという音楽表現、ステップシークエンスの細部なども、わずか1カ月の間に見違えるほど洗練された。リンクの中央に立った瞬間から貫禄すら感じさせるように成長した。GPファイナルでメダルを手にしたことが、大きな自信となったのに違いない。
米国に限らずどこの国も、国内選手権ではジャッジは国際大会よりも高めのスコアが出る。どの国もそうして、自国の選手がどれほど優秀であるか国際社会にアピールする意図もあるのだろう。だがチェンがこの大会で見せたレベルの演技を試合で安定させて滑ることができれば、国際大会でもスコアはいずれこのレベルに上がってくるだろう。