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神野不在でも完勝で強さを証明。
出雲駅伝で青山学院がまず一冠。
posted2015/10/20 10:20
text by
金哲彦Tetsuhiko Kin
photograph by
Shunsuke Mizukami
昨年、台風の影響で中止となった「出雲全日本大学選抜駅伝」は、駒澤大学と最終区間の6区までの接戦を制した青山学院大学が、3年ぶり2度目の優勝を飾った。
青山学院といえば、今年1月の箱根駅伝を大会新で初優勝し、陸上界のみならず、数多くのメディアで“青学旋風”を巻き起こした、いまや飛ぶ鳥を落とす勢いのチームである。
箱根で青山学院がマークした大会新記録は10時間49分27秒。1キロ平均換算にすると2分59秒となる。つまり、キロ3分ペースを超えたということだ。
往路復路あわせて217.1キロの箱根駅伝は、1区間あたりの距離がハーフマラソンに匹敵するほどの長丁場。つまり、ハーフマラソンを10回つなぐような長い駅伝で、一度の失速もなくキロ3分以上というハイペースで全員が走り抜いたのだ。並大抵のレベルではない。
もちろんわずかな失敗も許されないし、狙ってできるものではないだろう。学生にとっては驚異的な記録なのだ。
神野不在でも青学がリードという前評判。
箱根駅伝の勝敗を分けたという意味において、もちろん山登りの5区の神野大地の存在は大きい。
なにしろ。当分は破られないだろうと思われていた柏原竜二(当時東洋大学)の区間新記録をあっさりと破ってしまったのだ。
実際他校の監督からは、「神野1人にやられた」という声もある。
しかし、5区の快走が優勝の原動力にはなっても、それだけで大会新記録は達成できなかったと思う。
そして出雲駅伝は、キャプテンであり最も注目される神野が故障で欠場のうえでの優勝。エース頼みのチームではない、青山学院の総合力が本物であることを証明した。
レース前の予想は、青山学院、東洋、駒澤という三強の図式。
なかでも「青学四天王」といわれる神野大地、小椋裕介、久保田和真(ともに4年)、一色恭志(3年)を擁する青山学院が、神野が不在といはいえ頭ひとつ抜け出しているという印象だった。