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我道を歩んで「CSは全部勝つ!」。
ソフトバンク工藤監督のオレ流とは?

posted2015/10/14 10:40

 
我道を歩んで「CSは全部勝つ!」。ソフトバンク工藤監督のオレ流とは?<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

「根本さん、王さん、秋山さん、その先輩たちに俺は育ててもらった」とソフトバンク監督就任時には語っていた。

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田尻耕太郎

田尻耕太郎Kotaro Tajiri

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Nanae Suzuki

 現在の球界の主流に、工藤公康監督は敢えて従わない――。

 ホークスはCSファイナルに向けた調整を本拠地ヤフオクドームでずっと行い、10月14日の開幕に照準を合わせてきた。レギュラーシーズンの最終戦は5日だったから8日間の空白期間があった。

 試合勘。2004年にパ・リーグでプレーオフ制度が先行導入されて以来('07年から両リーグで「クライマックスシリーズ(CS)」がスタート)、それは優勝チームの“ハンデ”としてよく聞かれる言葉になった。それを鈍らせないためにCSを戦うチームは毎年決まって、この時期に宮崎県内で行われている秋季教育リーグ「フェニックスリーグ」に主力級を参戦させる。今年もセ・リーグ覇者のスワローズの1軍選手たちは宮崎に飛んだ。

 だが、ホークスは地元福岡での調整を選択した。工藤監督は「話し合った結果だが、発案者は自分」と明かしたうえで、そのワケを次のように並べた。

<宮崎に行った場合>
1)天候に左右される
2)CSはナイターからスタートだが、フェニックスリーグはデーゲーム。生活リズムが狂う
3)参戦できても1、2試合。そのために移動をしなければならない
4)寝食ともに慣れない環境で過ごさなければならない
5)インサイドを攻められ、怪我をする可能性も
6)CSを戦うヤフオクドームは人工芝だが、フェニックスリーグの球場は土
7)マウンドの違い

 次々と7つの理由が挙げられた。

理路整然とした、宮崎に行かない理由。

 整理する。

 まずは天候だ。

 昨年、ホークスは確かに痛い目にあった。当初は5泊6日で宮崎に滞在し4試合を行うはずが、たった1試合で帰福。しかも台風接近に伴い予定を急きょ変更し、3日間で宮崎を離れるというドタバタを強いられて調整プランが大きく狂った。

 2番目から5番目までは選手のコンディションに配慮したうえでの決断だ。

 ヤフオクドームでナイターを行う場合は、14時の全体練習開始に合わせて選手たちは準備をする。フェニックスリーグは12:30試合開始。ホームならば9時前には練習を開始しなければならず、逆算すれば起床は6時台となる。

 また、宮崎はキャンプ地で全く知らない土地ではないが、やはり自宅で過ごす方が心身ともにリラックスできる。

 そしてインサイド攻めに関しても、2010年に長谷川勇也が巨人辻内崇伸から頭部死球を受けて救急車で運ばれたという事例がある。

【次ページ】 「CSを戦うのはヤフオクドームなんだから」

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工藤公康
福岡ソフトバンクホークス

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