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我道を歩んで「CSは全部勝つ!」。
ソフトバンク工藤監督のオレ流とは?
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byNanae Suzuki
posted2015/10/14 10:40
「根本さん、王さん、秋山さん、その先輩たちに俺は育ててもらった」とソフトバンク監督就任時には語っていた。
「CSを戦うのはヤフオクドームなんだから」
最後の2つは環境面。
順番は逆だが、球団関係者によれば工藤監督はマウンドの違いをまず気にしていたという。ヤフオクドームのマウンドは固めだが、屋外の地方球場に行けば柔らかい。
「まったく違うマウンドで投げることでフォームのバランスを崩すのが心配。野手は確かに試合勘もあるが、投手は宮崎に行かずにヤフオクドームで調整したほうがいい」と話していたという。
また、直接訊ねたときも「マウンドもそうだし、ピッチャーってのはマウンドから見える景色によっても感じ方が変わる。バックネットまでの奥行とかで投げやすかったり、逆だったり。CSを戦うのはヤフオクドームなんだから、ココで調整するのが一番いいでしょ」と説明してくれた。
また、打者の試合勘については「うちの投手はナンバーワン。2軍にいる投手でも力を持った選手ばかり。そんなピッチャーと対戦すれば、いい練習になるだろ?」とにやり。
そこでシーズン最終戦から2日間を休養に充て、チームは8日に再集合するといきなり紅白戦を行った。
「余計な得点を与えない守り」の練習とは?
9日、10日、12日と計4試合(11日は休日)。試合勘を失わないのはもちろんだが、その形式が非常に興味深かった。
6イニング制(最終日は5イニング)で最初の2回までは普通に行うが、先発投手の登板最終回である3回からは「ケース打撃」の要素を取り入れた。「ノーアウト一、二塁」からスタートさせたり、アウトになった打者もランナーに残したり、様々な場面を想定。特に「1アウト一、三塁」は多用され、セーフティスクイズや重盗を仕掛けるなど、細かな作戦も見られた。
だが、工藤監督の話を総合すると、その目的は「1点を取る攻撃」よりも「余計な得点を与えない守り」を重視して行っていたという。
「紅白戦以外の練習メニューでもと投内連係やカバーリングなども一通りしっかりやってきたつもり。短期決戦では、ピッチャーが絡んだミスが出てしまうと非常に大きくなる。もし1点を与えても2点目は与えない野球も大事になる」