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大学選手権のドラフト候補20人。
創価大・田中正義の直球がすごい!
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2014/06/23 10:30
全日本大学選手権で、創価大5年ぶりの4強進出の原動力となった剛腕投手・田中正義。現在行なわれている大学日本代表選考合宿にも追加招集されており、24人の枠を争っている。
第63回全日本大学野球選手権(以下、大学選手権)は首都大学リーグ所属の東海大学が13年ぶり4度目の優勝を飾り、幕を閉じた。この大会で目立ったのは地方リーグの台頭とともに、強豪の名をほしいままにしてきた東京六大学リーグ、東都大学リーグ代表校の初戦敗退である。
東京六大学リーグ代表でシード校の慶応大は2回戦で対戦した神奈川大の左腕・濱口遥大(2年)の大きく縦に割れるチェンジアップを打ちあぐね、11奪三振を喫して1-3で敗退した。東都大学リーグで6連覇を達成した亜細亜大も同じくシード校として2回戦で創価大と対戦し、小松貴志(3年)、田中正義(2年)の継投に翻弄され、2-3で敗退した。
東京六大学リーグと東都大学リーグの代表校が一度も勝てず大学選手権の初戦で敗退したのは、1991年の第40回大会以来23年ぶりである。ちなみに、このときの東京六大学リーグの代表校も慶大で、敗れた相手は神奈川大だった。
当時の神奈川大のエースは濱口と同じく2年生の渡辺秀一で、渡辺は2年後のドラフトでダイエーの1位指名を受けプロ入り、1年目に8勝4敗の好成績を挙げ、パ・リーグの新人王を獲得した。神奈川大2年の好投手は今後、慶大の鬼門になるかもしれない。
地方の大学リーグが台頭する背景としては、社会人野球の縮小傾向が見逃せない。社会人野球を統括する日本野球連盟のホームページに紹介されている「加盟チームの推移」を見ると、'63(昭和38)年に237チームあった企業チームは'98(平成10)年には142チームになり、現在はというと89チームにまで減っている。
不況で、即戦力となる大卒選手を獲得する企業チーム。
企業チームで目立つのは、大学卒選手の多さである。長引く不況下では多くの新人を採用することはできず、そんな中、育成を必要とする高校卒選手を獲ることは難しかった。
今ここに、今年の第85回都市対抗野球大会東京都代表決定戦に出場した21チームの選手名簿がある。ここに紹介されている企業チーム、セガサミー、JR東日本、NTT東日本、東京ガス、明治安田生命、鷺宮製作所の選手のほとんどは大学卒である。6チーム合計171人中、高校卒はわずかに12人。その比率は7パーセントにすぎない。パーセンテージの上下はあるがこれは全国的な傾向で、社会人の道が閉ざされている以上、高校を卒業した球児は大学に進むしか道がない。