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W杯優勝国は「すでに決まっている」!
開催国と歴代優勝国、二択の命運は。 

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北條聡

北條聡Satoshi Hojo

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posted2014/06/10 10:30

W杯優勝国は「すでに決まっている」!開催国と歴代優勝国、二択の命運は。<Number Web> photograph by Getty Images

2011年のコパ・アメリカ、まさかのベスト8でパラグアイに敗れたブラジル。「第5の法則」に照らし合わせると、サッカー王国の命運やいかに……。

開催国であり、歴代優勝国でもあるブラジルの命運は。

 もう身もフタもない感じだ。王者へのパスポートはA(開催国)とB(歴代優勝国)のほぼ2つしかないのである。たとえその条件を満たしていても、『振り子の法則』を逃れてC(タブーの王者)の裏口が容認されるのは大会フォーマットに「ひずみ」が生じたケースのみ。前回のコラムをお読みくださった方々なら、もうご存知ですね。

 AでもBでもない国々はハナからお呼びでない。なんだかなぁと言いたくなるほどの狭き門である。どうやら、今回のブラジル大会のフォーマットにねじれはない。つまり「A対B」の一騎打ちというわけだ。

 そこで今回のブラジル(A)である。過去の開催国の中では特殊な立場だ。何しろ歴代王者(B)でもあるんですからね。前回大会の南アフリカや日韓大会の日本などとは事情が違いすぎる。こうした「A+B」という二つのパスポートを抱えたセレブなホストはいったい、本大会でどんな運命をたどるのだろうか――。いま一度、過去の事例をひもといてみたい。

1974年 西ドイツ('54年優勝)       →  優勝 (※初の自国開催)
1990年 イタリア('34、'38、'82年優勝) → 3位 (※'34年に自国開催で優勝)
2006年 ドイツ ('54、'74、'90年優勝) → 3位 (※'74年に自国開催で優勝)

 サンプルは3つ、ドイツとイタリアの2カ国だけだ。なおドイツの例は2度あるが、1974年と2006年ではホストの「履歴」が違う。前者は「初」の自国開催だったのに対し、後者は1990年大会のイタリアと同様、すでに自国開催での優勝を経験済みであった。そして前者は優勝し、後者はあえなく3位に終わっている。ならば、今回のブラジルは?

2014年 ブラジル('58、'62、'70、'94、'02年優勝) → ※'50年に自国開催で2位

 自国開催(1950年)の経験アリはイタリアと同じだが、自国での優勝経験ナシは西ドイツと同じ。あくまでも後者の履歴が必須の条件ならば、期待は大きくふくらむ。ただ、1974年の西ドイツの履歴にはもう一つ決定的な要素がある。イタリアとドイツに欠落し、西ドイツだけが満たしていたセレブホストの「優勝条件」とは何か。再び、以下の表に目を転じていただきましょう。

     開催国    直前EURO成績
1974年 西ドイツ → 1972年   優勝
1990年 イタリア → 1988年   ベスト4
2006年 ドイツ  → 2004年   1次リーグ敗退

【次ページ】 ローカル王者であることがタブーの条件だとしたら……?

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