ブックソムリエ ~必読!オールタイムベスト~BACK NUMBER
凝縮されたドラマで辿る
8000m峰14座の初登頂史。
~『ヒマラヤ登攀史 第二版』~
text by
馬立勝Masaru Madate
photograph bySports Graphic Number
posted2014/04/23 10:00
『ヒマラヤ登攀史 第二版』深田久弥著 岩波新書 800円+税
世界の8000m以上の山は14座、そのすべてがヒマラヤ、カラコルム山脈にそびえている。1950年、人類初の8000m峰の登頂がフランス隊によってアンナプルナで達成された。それから14年、1964年に中国隊がシシャパンマ(本書ではネパール名ゴザインタン)の頂上に立ち、8000m峰はすべて登頂された。本書は、その14座の初登頂史だ。
著者に説明は不要だろう。日本の山の本で不朽の地位にある『日本百名山』の山の作家。本書は『百名山』のヒマラヤ版ともいえる。それぞれの山の観測史、探検史、登攀史を背景に初登頂の冒険行を語る。一つの山に割かれるのは15ページから30ページほどだが、中身は濃い。