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史上初の外国人監督が1年で交代!
男子バレー、これは可能性か混迷か。 

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米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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photograph byNoriko Yonemushi

posted2014/02/14 10:50

史上初の外国人監督が1年で交代!男子バレー、これは可能性か混迷か。<Number Web> photograph by Noriko Yonemushi

アジア選手権で7度優勝し、ミュンヘン五輪で金メダルを獲得した栄光も今は昔、日本男子バレーは低迷を続けている。南部正司新監督はこの苦境にどう挑むのか。

世界に人脈があり、世界の現状を知る南部監督。

 今後のメンバーについては、'20年の東京五輪も見据えて若い選手を積極的に選出しながら、経験のある選手も残していくという。

「おそらく昨年の(ワールドグランドチャンピオンズカップの)メンバーから半分ほどは変わると思います。ただ、若い選手だけではチームはまとまりません。特にアウトサイドには経験のある選手を置いておくことが必要なので、ベテランと若手をうまく組み合わせていきたいと思っています」

 スキルアップのためにもメンタル強化のためにも、遠征を行なって海外チームとの対戦機会を増やし、世界の高さやボールのスピードに慣れることを目指す。

 パナソニックでは毎年のようにブラジル遠征を行なっており、世界ランキング1位のブラジル代表で長年コーチを務めたジョゼ・フランシスコをアドバイザーとして招聘するなど、南部監督は海外のバレーを積極的に学ぼうとしてきた。ブラジル代表のベルナルド・レゼンデ監督との親交も深く「『一緒に強化していこう』と言っていただいている。これからすぐに連絡を取って、ブラジルと強化練習をやれる環境をしっかり作っていきたい」と精力的だ。

 ロンドン五輪など海外の大会も積極的に視察し、そこで各国のバレー関係者と人脈を築いてきた。日本人の中では、最も世界の現状を知り、海外とのパイプを持っている指導者の一人だろう。

「強化ポイントさえ間違えなければ突破口はある」

 ロンドン五輪直後にはこう語っていた。

「世界との差は決して絶望的ではなくて、強化ポイントさえ間違えなければ突破口はあると感じました。海外のチームに対する細かい戦術やシステム作り、フィジカル強化などです。まずは体幹を鍛えたり、細くても強い筋肉を作るトレーニングをやるべき。

 例えば、トレーニングによって、今まで日本のブロックに当たって外に弾かれていた相手のスパイクが、少しでも上にあがるようになれば、ディグはいいのでつながるボールが増える。それがセットあたり3、4本増えたとしたら、ゲーム展開が変わる。そうすれば、今まで23-25で『あー惜しい』で終わっていたセットが逆になるかもしれないんです」

 世界に勝つためのアイデアがいくつも浮かんでいた。

 ただそれを実践し、世界と戦った実績はまだない。国際舞台で新監督の戦術や采配が通用するのかどうかは未知数だ。

【次ページ】 1年前に掲げた理想は、画期的な一歩だった。

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