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松山ら「成功体験のゴルフ」が席巻。
再構築とリスクで揺れる中堅の悩み。 

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桂川洋一

桂川洋一Yoichi Katsuragawa

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photograph byKyodo News

posted2013/09/12 10:30

松山ら「成功体験のゴルフ」が席巻。再構築とリスクで揺れる中堅の悩み。<Number Web> photograph by Kyodo News

フジサンケイクラシックでは通算9アンダーで並んだ松山英樹、谷原秀人、S.J.パクとのプレーオフに。18番でのプレーオフ2ホール目でバーディとした松山が今季3勝目を挙げた。谷原の2位Tは今季最高位。

バーディを奪いに行く若いプレースタイル。

 しかし“最近の若いもん”は違う。「小さな頃から、テレビで丸山(茂樹)さんやタイガーを見て育った。目が肥えていると思う」と武藤が言うように、彼らが夢に描いてきたのは、いつか自分たちが米ツアー、海外メジャーで活躍する姿だ。失敗を恐れず、チャンスと見るやとにかくアグレッシブにバーディを奪いに行く。ツアーにおける若手実力者たちは、成功に成功を上塗りしてきたプレーヤーのように見えるのだ。

 かといって、中堅世代が染みついたスタイルを変えるのは容易でない。武藤は「僕らは、ある程度のものが出来上がっている。だから(若手と同じスタイルで戦うには)シードを落として、QTに行く覚悟でスイングを一回、壊さなければならない」とまで言う。

 再構築した技術で、彼らと真正面からぶつかってみたい欲はある。しかし有名選手であれば、スポンサーやファンからの期待は大きく裏切れない。私生活でも家族ができ、基盤を構築する時期。“壊せない”外的要因も少なくない。

 20代の若手と同等のパフォーマンスを引き出しにくい要因は、他にもある。年齢を重ねるごとに、彼らの体には微妙な変化が生じているのだ。

「反応速度に始まり、体は30歳前後をピークにして変わっていく」と話すのは、かつて石川遼らを指導した仲田健トレーナーである。

 プロ野球選手で、今季限りで引退する阪神の桧山進次郎を支えてきた仲田は、アスリートの加齢で厄介なのが「積み重ねてきた経験が生むイメージと、実際の能力とのギャップ」であるという。できていたことが、できなくなっていることへの自覚症状がないまま、オーバーワークをして故障につながるケースが多いのだ。

加齢に順応し、コンスタントに活躍するために。

 甲斐慎太郎は2008年にツアー初勝利を挙げた32歳。「30(歳)を過ぎて、ケガを抱え始めた。足の裏に始まって、いまはヒジが痛い」と、変化を痛感している。「先輩たちが『痛い、痛い』って言うのを、若い時は『なにを言ってるのかなあ…』なんて思っていたんだけど…」。

 近藤共弘は近年、足底筋膜炎に悩まされてきた。谷原は右肩痛を発症。矢野東は今年6月、腰の椎間板ヘルニアと診断された。最近はコースに向かう前の1時間の有酸素運動とストレッチが日課。「結果的に規則正しいリズムでコースに入れるようになった。けがの功名」と自虐的に笑う。

 とはいえ、40代の谷口徹も、藤田寛之も、30代半ばに故障し、低迷した時期はあった。だが故障したことにより、谷口のように日々の体調に合わせて練習量を大幅に変えたり、藤田のように30代後半にしてウェイトトレーニングに精を出したりと、加齢に順応していく手立てはある。

 年を重ねてもコンスタントに活躍する選手は、加齢による体の変化をいち早く把握し、解決策を見つけた成功例。そんな自らのメソッドを中堅選手が見つけられれば、後半戦そして来季の男子ゴルフはさらに白熱するに違いない。

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