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やはり迷采配!? 真弓監督に問いたい、
「勝ちに行く」という言葉の真意。 

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氏原英明

氏原英明Hideaki Ujihara

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photograph byHideki Sugiyama

posted2010/10/13 13:00

やはり迷采配!? 真弓監督に問いたい、「勝ちに行く」という言葉の真意。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

「負けられない試合」に藤川で負けてしまう阪神へ。

 CSを争うヤクルトとの一戦。阪神はメッセンジャーを先発に立て、7回を零封。2-0の完全な勝ち試合の流れで、8回表に真弓監督は藤川をマウンドに送り込んだ。

 8回頭からの藤川投入は「この試合は負けられない」という真弓監督からのメッセージである。

 藤川は先頭の福地を死球で出すと、1番・青木にも安打でつながれた。犠打でそれぞれの走者が進み、飯原は二塁ゴロに仕留めるも、1点を献上。そのあと、ホワイトセルに豪快な逆転弾を浴びた。

 試合後、シンと静まり返る甲子園の光景は'08年のCSのあのシーンを彷彿とさせた。

「2点差を抑えられなかったら、クローザーちゃうね」

 試合後、足早にロッカールームに消えて行く藤川の背中ごしに、そんな声が聞こえてきた。「22」の背中は寂しかった。

 久保投手コーチはそのあと、取材陣にこう話していた。

「8回に球児を出したのは勝ちに行ったということです。打たれたことはしょうがない。明日も、勝ちに行きます」

 ロッカールームへ消えた藤川の寂しすぎる背中と久保投手コーチのいつもの言葉だけが残された。

藤川以外の投手も次々と不振に陥ったシーズン終盤。

 そして甲子園最終戦の9月30日、矢野の引退試合でもあった対横浜戦で、藤川は再び救援に失敗する。

 1イニングの登板だったが、この日も2点差を守れなかった。矢野に花道を飾ってやりたいという彼なりの想いもあっただろうが、そうしたものも含めて、藤川が抱えるものが大きすぎたのではないか。

 もっとも、苦しんだのは藤川だけではない。それ以外の投手の登板数も今シーズンは多く、シーズンを通してまともにパフォーマンスを維持できた選手はいない。事実として、藤川以外の中継ぎ・救援陣は、全員がその過酷な采配もあって不振をかこち、一度ならず登録抹消されている始末なのだ。中盤まで救援陣を支えていた2年目の西村憲でさえ、シーズンの最後には勢いを失って、二軍で再調整を余儀なくされている

 だが巨人のつまずきもあり、阪神は2位でCSへ進出することができた。

 日本一になるチャンスは、まだ残っている。シーズンはまだ終わりではないのだ。

 ポストシーズンが終わった時にこそ、真弓監督や久保コーチが言い続けてきた言葉の真意がどこにあったのか、答えが出る。

 目先しか見ていなかったのか?

 先を見通せていたのか?

 CS第1ステージは16日、初の甲子園開催で幕を開ける。

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