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混戦のパで首位に躍り出た楽天。
チーム防御率最下位でもなぜ強い?  

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田口元義

田口元義Genki Taguchi

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posted2013/07/10 12:00

混戦のパで首位に躍り出た楽天。チーム防御率最下位でもなぜ強い? <Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

聖澤は、藤井栄治(当時阪神)が持つ外野手の最多連続守備機会無失策記録である817を抜けるか?

 同率とはいえ、7月4日のロッテ戦に勝利したことで、6月以降では球団創設以来、初めての首位に立ち、6日には単独首位に躍り出た楽天イーグルス。9日にその差を2.5と広げ、依然としてパ・リーグトップの座をキープしている。

 今季の楽天は強い――。

 その大きな要因として、投打のバランスが噛み合っていることがまず挙げられる。

 チーム防御率はリーグ最下位の3.75(7月9日現在。以下同)。それでも、開幕から12連勝をマークするエースの田中将大や、新人ながらこれまで7勝を挙げている則本昂大が代表するように、投手陣の奮闘が目立つ。

 攻撃陣にしても、最近では3番を任されるなどブレークを果たした銀次がチャンスメークし、新加入のジョーンズ、マギーが走者を還すという効率の良い攻めで、得点はリーグ2位の325をマークする。

 しかし、楽天の強さはそれだけではない。

 守備も重要なファクターとなっているのだ。

31と圧倒的に少ない失策数と、目を見張る内野の連係プレー。

 リーグトップの守備率.989に失策数は31。2番目に少ないロッテの43と比較すれば、その数字がどれだけ優れているのかが分かる。

 そして、データ以外でも目を見張るものがある。内野の連係プレーだ。

 例えば、首位となった4日のロッテ戦。

 5回、1死一・三塁からのサードゴロをマギーがゲッツーを狙い二塁へ送球。セカンドベース上でボールを受けた藤田一也は、三塁走者が本塁を狙ってスタートしたのを見逃さず素早くホームへ。キャッチャーの嶋基宏が帰塁する走者をサードで刺しダブルプレーを完結。鈴木康友内野守備走塁コーチが、「素晴らしい」と脱帽するほど鮮やかなプレーで、勝利を大きく引き寄せた。

 9日の日本ハム戦でも、内野の連係が光るシーンがあった。

 8回、1死一塁の場面で1番・陽岱鋼の打球がセカンドへ転がる。セオリー通りならば4-6-3のダブルプレー。しかし、セカンドの藤田は迷わず一塁へ投げ、ファーストの銀次がセカンドへ送球。4-3-6という珍しいゲッツーを成立させたのだ。

【次ページ】 「この状況ならばこういうプレーを」という意識の共有。

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