プレミアリーグの時間BACK NUMBER
'09-'10シーズン、プレミアリーグの
ベストイレブンはこのメンバーだ!!
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byAction Images/AFLO
posted2010/05/28 10:30
シーズン最終節のストーク・シティ戦後、息子のカイ君を抱いてファンに挨拶するルーニー。彼の大活躍がなければ、マンUは2位にすらなれなかっただろう
プレミアリーグの2009-10シーズンは最後まで予断を許さなかった。
最終節でチェルシーがマンチェスターUに1ポイント差で優勝を決めたタイトルレースには、終盤までアーセナルも顔を出した。残る1つのCL出場枠をめぐる争いでは、後半戦に入っても5チームにチャンスがあった。例年にない混戦状態には、先頭集団とそれ以外のチームとの実力差が思いのほか縮まっていたという背景がある。極端なところでは、2節でマンUがバーンリーに完封負けし、チェルシーがウィガンに開幕ダッシュを止められたように、誰が誰に勝ってもおかしくない状態だった。
番狂わせが当たり前だったシーズンを振り返りながらベスト11を考えてみると、実に9 チームからの選出となった。
陣形はチェルシーにあやかって4-3-3を採用した。新監督のアンチェロッティが、完全に機能しているとは言い難かった4-1-2-1-2の新システムを、途中で主力の大半が戦い慣れている旧システムに戻す勇気を持っていたことが、4年ぶりのタイトル奪還を可能にしたと言えるからだ。
15試合連続無敗の原動力となったジョー・ハートを守護神に。
まず、ゴールを守るのはバーミンガムでレギュラーを張ったジョー・ハートだ。クラブ新記録の15試合連続無敗は、ハートの安定したセービングなしにはあり得なかった。その間には、チェルシーとマンUからのポイント奪取も実現している。ハートは、昇格1年目のチームを9位に押し上げる原動力となり、U-21代表から一気にA代表でレギュラーの座を争う権利まで手に入れたのだ。実力はリーグ最高でも、チームとして最悪だったリバプールのペペ・レイナを抑えて、ベスト11の守護神となる資格は十分と見る。
最終ラインの中央にはトッテナムのマイケル・ドーソンとアストンビラのリチャード・ダンを置く。ドーソンが正CBとして活躍したトッテナムは、過去4年間で最少の41失点で全38節を乗り切った。チェルシーとアーセナルから僅差の勝利を奪い、CL圏内争いのライバルだったマンチェスターCとアストンビラとの計4試合を無敗で切り抜けることができたのは、彼の堅守があったからだ。ダンは昨夏のアストンビラ移籍で蘇った。苦し紛れのファウルが目立ちマンCから売却されたが、若手主体のチームで頼りにされて心機一転。39失点とリーグ3位のアーセナルよりも少ない失点数は、ベテランCBのリーダーシップと粘り強い守備のおかげだ。両者の貢献度は、スキャンダルを引き起こしたジョン・テリー、故障続きだったリオ・ファーディナンドという、花形CBを上回る。
有力候補の少ないSBは、チェルシーのブラニスラフ・イバノビッチとマンUのパトリス・エブラで決まりだろう。本来は控えCBのイバノビッチは、右SBとして、攻撃参加も含めてジョゼ・ボシングワ長期欠場の穴を埋めた。優勝争いではチェルシーの選手層の厚さが物を言ったが、その代表格がイバノビッチだった。左サイドのエブラは、先発37試合を含みリーグ戦に全試合出場した。この功績は、ライバルと言えるチェルシーのアシュリー・コールを凌ぐだろう。彼は開幕から生涯最高の出来を示しながらも、終盤に約2カ月半も負傷欠場したのがマイナスだ。