Column from Holland & BelgiumBACK NUMBER
韓国コンビが示すモノ。
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byTakuya Sugiyama
posted2005/02/04 00:00
オランダの地元紙が、PSVの前期MVPに選んだのが、李栄杓と朴智星の韓国代表コンビだった。
「昨季に2人が受けていた批判は、完全に消えた。ヒディンク監督の信頼に応えた」(アルフメーンダフブラット紙)
右サイドバックの李は、チームで唯一チャンピオンズリーグ全試合にフル出場して、PSVのベスト16進出に貢献した。MFの朴は前期のリーグ戦で1得点にとどまったものの、準レギュラーの座を手に入れた。昨季、朴は遠距離恋愛の失恋から調子を落としていると陰口を叩かれたが、そのときからは完全に立ち直っている。2月15日にバルセロナで行われるスマトラ沖地震の救済チャリティマッチに、津波で義理の父が犠牲になったフォーゲルとともに朴は選ばれた。名実ともに、李と朴はPSVの顔にもなりつつある。
ヒディンク監督も、2人の変貌ぶりには驚いている。
「彼らはオランダに来てテクニックも上達したし、自信をつけたのが大きい。それで他の選手に要求するようにもなった」
特に李栄杓は、PSVに欠かせない存在になった。
「左サイドバックの李は、状況に応じて左ウィングにもなれる。彼のようなサイドバックの存在が、我々の守備システムがイタリアより優れている基になっているんだ」
今季PSVは、1100分以上も失点をゼロに抑え、国内リーグの無失点記録を更新した。だが、ヒディンクはPSVをただの守備的なチームにしたわけでなく、ウィングとサイドバックが攻め続ける魅力あるチームに仕立てあげたのだ。李はそれを支える重要なひとりというわけだ。
朴自身も、自分のプレイに手ごたえを得ている。
「今季PSVはCLでベスト16に進出して、みんなが同じ目標を持って練習に取り組んでいるんです。その中で他の選手と競い合うことで、日々成長していると自分でも感じますよ」
今年、日本代表の中田浩二が、前日本代表監督のトルシエが率いるマルセイユへ移籍した。韓国コンビがオランダでヒディンクの下、急成長したように、中田浩二はフランスでブレイクする大きなチャンスがある。似た境遇にある韓国コンビと、中田浩二の今後を照らし合わせれば、日韓の隠れた距離感が見えてくるはずである。