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青木宣親、初めてのスランプ。
彼に何が起こっているのか?
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2009/06/29 13:30
先週末からついにペナントレースが再開した。
セ・リーグでは、首位の巨人と2位の東京ヤクルトが早くも頂上決戦。ゲーム差は2しかなく、東京ヤクルトが全勝すれば首位が入れ替わるという、いきなりの好カードだった。
この首位攻防戦ではひとりの選手に注目していた。交流戦から復調の兆しが見られた、東京ヤクルトの青木宣親である。
大きなスランプを経験したことが無かった青木。
今シーズンの青木は開幕から絶不調だ。「WBC組」が相次ぎ故障や不調を訴えるなか、彼もご多分に漏れず不振に喘ぎ、5月中旬まで打率は2割3分を前後する毎日だった。それが、交流戦後にシーズン打率がようやく2割7分まで上がってきた。やっとエンジンがかかってきたかと思われた先週の首位攻防戦、第1ラウンドこそタイムリーを放ったが、以後、快音はピタリと止み、3試合で13打数1安打1打点と成績は振るわず、まだまだ不安定さを残す結果で終わる。彼が原因というわけではないが、東京ヤクルトは巨人に1勝2敗。ゲーム差は3へと広がった。
まだ、本来の青木には戻っていないのだろうか?
200本安打を達成した05年以降、毎年3割を記録し、これといって大きなスランプを経験していなかった青木が、プロ6年目にして初めて味わう苦悩。
イチローにしても、今季こそDLから復帰後はハイペースで安打を量産しているが、例年、4月は打率2割台が多いことから、シーズン序盤の低迷はこの種の打者のお定まりと言ってもいいだろう。だから、青木の現在もそれと照らし合わせれば、さして大きな問題でもないように思える。
プロ6年目にして初めて不調を招いた遠因。
WBC直前、青木に話を聞いたとき、こんなことを言っていた。
「今年はWBCがあるんで、去年のシーズンが終わってからずっとトレーニングを続けていて……できれば開幕を1カ月遅らせてほしいくらいですよ。やっぱり国際大会でのプレッシャーはハンパじゃないですから」
そう、冗談を交えながら笑顔を見せた。昨年のオフから、プロ入り後、初めて本格的なウエイトトレーニングを導入するなど休むことなく身体を動かし、3月からは約1カ月にも及ぶプレッシャーと戦ってきた。そういったツケが、現れてきているのかもしれない。
本人もテレビや新聞などを通じて、
「(不振は)何が原因か分からない」
と言っているくらいだ。