テレビに映らない大谷翔平:番記者日記BACK NUMBER

佐々木朗希が大谷翔平から“ドジャースの主役”を奪った日…イチローに挨拶→衝撃の“落差112cm”スプリット「全てが格段に良くなっている」 

text by

柳原直之(スポーツニッポン)

柳原直之(スポーツニッポン)Naoyuki Yanagihara

PROFILE

photograph bySteph Chambers/Getty Images

posted2025/10/06 11:02

佐々木朗希が大谷翔平から“ドジャースの主役”を奪った日…イチローに挨拶→衝撃の“落差112cm”スプリット「全てが格段に良くなっている」<Number Web> photograph by Steph Chambers/Getty Images

リリーフで快投続きの佐々木朗希。シーズン60本塁打のローリーも斬って取った

 それが球団の合言葉となり、イチロー氏の1年目だった2001年以来となる、24年ぶりに地区優勝を決めたことは、運命の導きにしか思えなかった。

 30球団で唯一、ワールドシリーズ進出がないマリナーズとドジャースのワールドシリーズがみられるだろうか。ア・リーグ最多60本塁打のカル・ローリーらスターはそろい、そんな思いを巡らせてくれる言葉だった。

 一方、気になることがあった。試合前、ドジャースのデーブ・ロバーツ監督は大谷に休養日を与える予定について「彼は“決めるのは監督だよ”と言っていた。どうするかはまだ決めていない」と話した。ロバーツ監督はこれまで大谷が出場する時は基本的に断言してきただけに、大谷は欠場するのではないだろうかという予想が私を含め報道陣全員に広がっていた。

落差112cmスプリットで60発男ローリーを三球三振

ADVERTISEMENT

 この日の試合の主役は大谷ではなく、佐々木だった。

 敵地Tモバイル・パークに「MVP! MVP!」の大合唱が鳴り響く。3-1の7回2死二塁。佐々木は両リーグトップ60本塁打を誇りア・リーグMVPが有力視される主砲ローリーと対峙した。デーブ・ロバーツ監督が「この対決が見たかった」とうなるほど、この試合で一番の勝負どころだった。

 初球はこの日の最大落差44インチ(約1メートル12センチ)を計測したスプリットでストライク。2球目、3球目と続けて低めのスプリットでバットに空を切らせ、空振り三振に仕留めた。

 不安定な救援陣に厚みを持たせるため、メジャー初救援で三者凡退と好投した24日のダイヤモンドバックス戦から中1日での登板。三球三振斬りに指揮官はこう称えた。

「4月なら同じ結果にならなかっただろう。今の彼は全く別の投手。自信も球も体の状態も、全てが格段に良くなっている」

本塁打王争い真っただ中だった大谷は…

 大谷は3回の第2打席で四球を選び、同一シーズンでは自己最長を更新する30試合連続出塁をマークした。直後に二盗を決め、3年連続4度目の20盗塁に到達。昨年の54本塁打59盗塁に続き、メジャー史上初めて2度目の「50-20」到達となった。一方、待望の本塁打は出ず、本塁打王争いでトップのカイル・シュワーバー(フィリーズ)まで2本差の54本のままだった。

 試合後の会見でロバーツ監督に再度「大谷選手を明日休ませますか?」と聞くか迷ったが、この日は明かさないだろうと思って自粛してしまったことに悔いが残った。つづく

#11に続く
「オオタニはずっと親切なんだ」ドジャース大谷翔平と“同学年”苦悩スコットがニコニコ、米国人記者は「本塁打王の評価…人によって違うよね」
この連載の一覧を見る(#1〜28)
#28
「悔しい形だった」大谷翔平が浴びた大ブーイングと3ラン…“中0日で涙のMVP”山本由伸は園田通訳に「どういうこと?」ドジャースWS連覇ウラ話
#27
「ヤマモト以外は登板可能」“いい意味で”裏切ったロバーツ監督も山本由伸も大谷翔平も…「負ける選択肢はない」WS敗退寸前ドジャースの底力
#26
フリーマン爆笑「これが必要なんだ!」“キム・ヘソン相手にコケた”ロバーツ監督も大谷翔平も…連覇崖っ縁ドジャースはなぜか悲壮感ゼロだった
#25
佐々木朗希「マジ?」NHKが捉えた山本由伸ブルペン入り「球場がザワついたのは18回1死」「大谷翔平は26時就寝→翌日先発」ドジャースWS死闘ウラ話
#24
「妻からイジられたけど」大谷翔平が自ら“真美子夫人の話”を切り出すとは…WS観戦、花巻東の同期に送られた「犬の絵柄のLINEスタンプ」
#23
カーショウ絶賛「効率的。今のヨシなら150球でも」山本由伸がブルージェイズ打線を制圧…“敵地ファンに神対応”大谷翔平から主役を奪った日
#22
「うーん…」大谷翔平がWS前日、“佐々木麟太郎ドラ1指名”を聞かれて率直な反応「やりとりはしていた」“花巻東の後輩”を温かく見守っていた
#21
「ハハ、わからないです」大谷翔平が苦笑いのTikToker直撃取材…カオスすぎたワールドシリーズ前日ウラ話「WBCでも対戦ロイヤルズ主砲まで」
#20
ベッツ熱弁「オオタニと一緒に…特別だよ」ドジャース大谷翔平の“テレビに映らない”ワールドシリーズ連覇全事実「開幕前日取材は超カオスに」
#19
「オオタニはジョーダンのようだ」ベッツもフリーマンも敵将も絶賛の大谷翔平だが「たまたま僕が」神の領域MVPに笑顔は一切なく…ドジャースPS裏話
#18
「逆に言えば…」大谷翔平は“ロバーツ監督の苦言”に微笑んだ「ショウヘイ! ワオ!」カーショウもフリーマンも激レア150m弾フリー打撃に興奮
#17
ドジャース裏話「このままではWSで勝てない」“不調説”の大谷翔平にロバーツ監督が苦言…じつは「日本ハム時代の栗山監督もそうだった」
#16
テレビに映らないドジャース裏話「打率.056」でも大谷翔平が何より喜んだのは…「英語、分からないので」“大谷先輩譲り”な佐々木朗希の強心臓
#15
「イッペイ!」大谷翔平、“敵地大ブーイングとヤジ”を浴びても平然…「美談ではない」佐々木朗希への“時間稼ぎ”はドジャース首脳陣のミス
#14
「チーズステーキ美味しいな」大谷翔平のユーモアに敵地メディア大ウケ→「今まで食べた中で一番だ」ロハスが差し入れ神対応…ドジャースPS裏話
#13
「佐々木朗希がはしゃいでシャンパンを」大谷翔平の番記者が見たドジャースPS舞台裏「今日はショウヘイの奥さんとデコイが」銀髪ロハスは照れ笑い
#12
「オオタニは偉大な才能だけど…」“元二刀流の161キロ”の闘志をドジャース大谷翔平は打ち砕いた「しっかりと良いスイング」珍しく自賛した日
#11
「オオタニはずっと親切なんだ」ドジャース大谷翔平と“同学年”苦悩スコットがニコニコ、米国人記者は「本塁打王の評価…人によって違うよね」
#10
佐々木朗希が大谷翔平から“ドジャースの主役”を奪った日…イチローに挨拶→衝撃の“落差112cm”スプリット「全てが格段に良くなっている」
#9
真美子夫人と愛娘はもちろん…大谷翔平が語った「ドジャース裏方への感謝」「山本由伸はエース」「カーショウとの日々」こそ素直な気持ち
#8
「苦しいと思うけど…」大谷翔平は“勝ちを消されても”崩壊リリーフ陣をかばった「調整モードは終わった、と」ロバーツ監督の一言に報道陣騒然
#7
かつては因縁の仲扱い…大谷翔平が“引退カーショウとハグ”惜別弾翌日「カーショウが打撃練習で2発、大谷は“デンジャラス”」番記者ビックリ
#6
「フレディ…君なら分かるだろ?」“引退会見前に長男と練習”カーショウもフリーマンも涙、大谷翔平とベッツは…テレビに映らないドジャースの友情
#5
大谷翔平の偉業が「普通」になりつつある違和感…50号+5回無安打投球に、番記者はヘロヘロでも高揚した「ロバーツ監督も“MVPは一方的だ”」
#4
「ショウヘイは最高の先発の1人。役割は…」ドジャース敏腕本部長も“本塁打王争いシュワーバーと対決”大谷翔平も…PS前哨戦、異例の光景
#3
ドジャースが不穏でも大谷翔平はどこ吹く風「ショウヘイ、モノマネいいね」熱血ベシアに“山本由伸のやり投げ”…超才能は二刀流だけでない
#2
「ショウヘイもベッツもパーで十分」“山本由伸ノーノー未遂”敗戦翌朝…ドジャース打撃コーチが大谷翔平らに送ったメッセージ「やりすぎるな、と」
#1
テレビに映らない大谷翔平「いつもと様子が違う…」菅野智之から2打席連続ホームラン翌日“異例の走塁練習”番記者が一塁コーチに理由を聞くと

関連記事

BACK 1 2
#大谷翔平
#ロサンゼルス・ドジャース
#佐々木朗希
#デーブ・ロバーツ
#カイル・シュワーバー
#シアトル・マリナーズ
#イチロー
#カル・ローリー
#福田秀平
#千葉ロッテマリーンズ

MLBの前後の記事

ページトップ