テレビに映らない大谷翔平:番記者日記BACK NUMBER
テレビに映らない大谷翔平「いつもと様子が違う…」菅野智之から2打席連続ホームラン翌日“異例の走塁練習”番記者が一塁コーチに理由を聞くと
posted2025/09/15 11:06
9月の“ヒリヒリした戦い”に臨む大谷翔平とドジャース。テレビに映らない舞台裏とは
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柳原直之(スポーツニッポン)Naoyuki Yanagihara
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Justin Edmonds/Getty Images
菅野から連発…嫌なムードを振り払うのはやはり大谷
《9月8日 vsロッキーズ ◯3-1 ドジャースタジアム》
《9月9日 vsロッキーズ ◯7-2 ドジャースタジアム》
《9月10日 vsロッキーズ ◯9-0 ドジャースタジアム》
南カリフォルニア特有の強烈な日差しにも関わらず、素肌にぶつかる涼風が心地良かった。羽田空港から約10時間のフライトを経てロサンゼルス空港に到着。時差が16時間あるため出発日と同じ9月7日の正午だった。
到着直後にあらかじめ購入していたeSIMでスマートフォンを“米国仕様”に切り替え、ニュースを見ると、トップ記事にドジャースの大谷翔平が2打席連続本塁打を放ったことがすぐに分かった。しかも、オリオールズの菅野智之からだった。
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日本のスポーツ紙のMLB担当記者として、活躍を願う日本選手同士の対決はどんな結果でも複雑な気持ちになる。ただ、この前日は山本由伸が9回2死でノーヒットノーランを阻止されると、山本の降板後に救援したブレーク・トライネンとタナー・スコットが崩れて、まさかのサヨナラ負けを喫していた。
ドジャースファンなら誰もが感じていただろう、嫌な雰囲気を振り払ったのはやはり大谷だった。日本での開幕戦の日米往復を含め今季4度目の米国出張。ポストシーズンを見据え、身が引き締まるのが自分でも分かった。現地スーパーで自炊用の買い出しを終え、シーズン中限定で借りているアパートへ向かった。
ロバーツ監督は大谷の当番日の明言を避け…
翌8日の午後3時。ドジャースの三塁側クラブハウスに向かうと、前夜の試合後にボルティモアから深夜便で帰ってきたドジャースのナイン、スタッフはやはりどこか疲れているような表情に見えた。大谷も前日に2打席連続本塁打を放ったとはいえ、体調不良で3日のパイレーツ戦の登板を回避し、5日のオリオールズ戦では背中痛を訴えたグラスノーの代わりに緊急登板で、地区優勝を目指すチームへの“男気”を見せた。
快方に向かっているとはいえ100%の状態ではないはず。現在の体調や表情が気になっていた。大谷は到着するやいなや大きなあくびをし、自身のロッカーの席に座っても再びあくびをした。その後は、じっとスマートフォンを眺めていたので、私は「今が挨拶するチャンスだ」と歩み寄り「今日からまた来ました。よろしくお願いします!」と声を掛けた。すると、大谷はやや険しい表情で「お疲れっす!」と返答。「あれ……今じゃなかったかもしれない……」と後悔したが、声には張りがあり、少し安心した。

