テレビに映らない大谷翔平:番記者日記BACK NUMBER
テレビに映らないドジャース裏話「打率.056」でも大谷翔平が何より喜んだのは…「英語、分からないので」“大谷先輩譲り”な佐々木朗希の強心臓
posted2025/10/19 11:02
フィリーズとの地区シリーズで苦しんだ大谷翔平だが、何より喜んだこととは
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柳原直之(スポーツニッポン)Naoyuki Yanagihara
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Harry How/Getty Images
ロバーツ監督が示唆した「重要な場面でササキ」
ドジャースが先勝した第1戦翌日の5日は試合がなく、チーム練習も報道陣に非公開で行われた。ポストシーズンで第1戦と第2戦の間に休養日を設けるのは、期間中に両リーグで試合のない日をなくすための調整が目的。両リーグが持ち回りで1年ごとに交代で休養日を設けている。
フィラデルフィアで2試合しか行われないのに5泊もする異例の日程となる。
シチズンズバンク・パークと道路を挟んで位置するリンカーン・フィナンシャル・フィールドでは地元のNFLフィラデルフィア・イーグルスとデンバー・ブロンコスの試合が行われ、デーブ・ロバーツ監督が足を運んでいた。練習前のオンライン会見では、米メディアから「佐々木をもうクローザーと呼んでいいか?」と問われたロバーツ監督は「その地位を勝ち取ったと思う」と断言した。
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一方、柔軟な起用法も視野に入れ「9回だけに固定するという形にはしたくない。8回に最も重要な局面がくることもある。彼は最も重要な場面で使う救援投手の一人だ」と続けた。佐々木がいなければ地区シリーズ初戦は落としていたかもしれない。その他メディアだけでなく、米メディアからも佐々木の復活は高い関心を示されていた。
大谷からボールをもらった敵地の親子はニッコリ
地区シリーズの“話題の中心”が佐々木に変わりつつあるこの時、大谷はやはり自然体だった。
翌6日、第2戦の試合前。熱狂的な敵地のフィリーズファンに囲まれた状況をむしろ楽しんでいるようにさえ見えた。試合前にはキャッチボールを行い、その後はフリー打撃中の中堅守備に入った。後方への打球を背走しながら難なく処理する姿は、外野手として全く違和感がなかった。打球を処理した後は、スタンドのフィリーズファンの親子にボールを投げ込み、笑顔でサムアップポーズをもらっていた。試合が始まればライバルとなるが、大谷は「メジャーの顔」であり、今や全米の野球ファンが一目置くスーパースターなのだ。
試合は大谷が7回に適時打を放つなど4−0にリードを広げたが、8回に1点、9回に2点を返され1点差に迫られ、なお2死一、三塁という絶体絶命のピンチに佐々木が登板。今季首位打者のトレイ・ターナーを2球で二ゴロに仕留めて、2試合連続のセーブを挙げ、2連勝でナ・リーグ優勝決定シリーズ進出に王手をかけた。

