テレビに映らない大谷翔平:番記者日記BACK NUMBER

「オオタニはジョーダンのようだ」ベッツもフリーマンも敵将も絶賛の大谷翔平だが「たまたま僕が」神の領域MVPに笑顔は一切なく…ドジャースPS裏話

posted2025/10/24 11:05

 
「オオタニはジョーダンのようだ」ベッツもフリーマンも敵将も絶賛の大谷翔平だが「たまたま僕が」神の領域MVPに笑顔は一切なく…ドジャースPS裏話<Number Web> photograph by Naoyuki Yanagihara

3本塁打に7回途中10奪三振無失点でMVP獲得。それでも会見の大谷翔平に笑顔はなかった

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柳原直之(スポーツニッポン)

柳原直之(スポーツニッポン)Naoyuki Yanagihara

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 ワールドシリーズ連覇へ「あと4勝」と迫った大谷翔平とロサンゼルス・ドジャース。番記者がテレビに映らないポストシーズン舞台裏を記す。〈NumberWebレポート:随時配信〉

大谷が使っていた“銀色バット”のナゾを聞く

 16日、ドジャースとブルワーズのナ・リーグ優勝決定シリーズ第3戦。試合前に大きな取材テーマを自分に課していた。前日に大谷がフリー打撃で使っていたバットを写真で確認すると、黒バットの先端半面が銀色に塗装されていたため、このバットの詳細を確認する必要があると感じたからだ。

 打撃練習後のベイツ打撃コーチに直撃すると、すぐに明らかになった。同コーチによれば、オフの左肩手術後、左腕が後ろに引っ張られる動きを避けるために今季から使い始めた練習用バットだという。

「スイング軌道を正しく保つことが目的。銀色の部分でボールを捉える意識を持ってスイングしている」

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 特製バットは34.5インチ(約87.6センチ)、32オンス(約907グラム)で試合用と同じながら、視覚的にスイング軌道を確認できる効果があるそうで「バットを外から内に出すのではなく、ゾーンの中を真っすぐ通す感覚を身につけるためのもの」。今季自己最多となる55本塁打を生み出した「相棒」とともに、復調のきっかけをつかもうと必死にもがいているのだった。

復調の第3戦を経て、伝説の第4戦へ

 初回、大谷が食らいついた。初戦に続き大谷対策として先発した左腕アシュビーの外角スライダーを、右手一本で拾って右翼線へ運んだ。8試合ぶりの長打となる三塁打。続くベッツの二塁打で先制のホームを踏んだ。

 今PSは本調子ではない中、デーブ・ロバーツ監督は「彼はもがきながら乗り越えようとしている」と評価。大谷はPSで2年連続先頭打者ホームランを記録しており、PSでの複数の先頭弾と先頭三塁打をマークするのは史上初の珍しい記録となった。ブルワーズのパット・マーフィー監督は「彼は常に危険な存在だ」と称賛した。

 大谷は17日の第4戦に先発する。指揮官は「彼はユニコーン(伝説上の動物)。明日も良い投球をしてくれる。集中して打撃でもいい働きをしてくれる」と期待を寄せた。4連勝で今季4度目のシャンパンファイトへ、大きな舞台が託された。

 その第4戦では、球史に残る一日が刻まれた。究極の投打二刀流を体現する、新たな伝説の誕生だった。

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