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「僕はオオタニが大好き」「台湾が日本に勝ってビックリなの」プレミア12優勝その後…現地でファン・記者に直撃「こんな盛り上がりは過去ない」
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byNanae Suzuki
posted2024/12/19 17:03
プレミア12で初の国際大会優勝を果たした台湾代表。現地に行ってみると盛り上がりは続いていた
「2013年のWBCで日本と死闘を繰り広げたときも、台湾の反応はすごかったのですが、ベスト8で負けてしまった。でも今回は優勝ですから。プレミア12が終わってもう2週間以上たっていますけど、まだ選手のインタビューとか深掘り記事とか、こぼれ話が出てきています。こんな盛り上がりは過去、なかったんじゃないでしょうか。
やはり前評判があまり高くなかった中、下馬評を覆しての勝利ですから。特に陳傑憲(チェン・ジェシェン)というMVPをとったキャプテンを中心に、チームが一丸となったんですね。団結して強敵を打ち破って東京に行き、27連勝している日本に勝って優勝する。映画でもちょっとこんなストーリーは書けないんじゃないですか」
「TAIWANパーカー」がヒット商品になったワケ
駒田さんによると、今回はそれだけでなく、台湾国民の意識の変化も見られたと言う。
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「今回の選手たちはすごく『台湾』を強調したんですね。本来、国際大会では、中国の手前もあって『チャイニーズタイペイ』で統一しなければならないんですけど。台湾のファンが感謝していたのは東京ドームなどで、台湾の国旗=中華民国旗を振っても、あまり何も言われなかったことです。
あとは選手たちが記者会見で、『僕は台湾から来た選手です』とか言っていたのも印象的でした。今、すごく台湾で話題になってるのが、胸に『TAIWAN』と縫われた黒い選手用のパーカーで、ヒット商品になっているんです。スポーツの話ではあるんですが、両岸関係(中国と台湾の関係)が変化する中、若い世代を中心に、代表チームの名は『TEAM TAIWAN』という意識が高まっている。そのタイミングでの優勝でしたから、なおさら印象深かったのではないでしょうか」
スポーツと政治は分けて考えたいと思うが、国際大会ともなれば「世界情勢」は大きく影響してくるのだ。とはいえ沖縄のジャパンウィンターリーグでは、中国のU23の代表チームと、台湾中信兄弟から派遣された選手が試合をしている。彼らの関係は決してとげとげしくはない。
国際社会のパワーゲームはこのところますます激しくなっている。そんな中でも、スポーツだけは「平和な環境」でずっと行われることを願ってやまない。