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立浪和義が吐露していた「現場と外はちゃうんや…」あの天才が中日監督でなぜ苦悩? PL学園の盟友が明かす「タツが苦しんでるのは…」
text by
柳川悠二Yuji Yanagawa
photograph byNanae Suzuki
posted2024/01/12 11:00
勝負の3年目を迎える中日・立浪和義監督
「耕して、肥料を撒いて、種を植えて、水を撒いて……ようやく芽が出てきた選手もいれば、なかなか出てこない選手もいる。その狭間でタツも戦っていますよね」
聞いた本音「現場と外はちゃうんや」
2022年シーズンに大きな飛躍を遂げたのが、2020年にドラフト1位で入団した髙橋宏斗だ。開幕からローテーションの一角を担い、7月の広島戦ではノーヒットノーラン寸前の快投を見せた。立浪は登板間隔や球数に気を遣いながらこの若手右腕を起用していたが、打線の援護に恵まれないこともあって6勝7敗の成績に終わった。その後、WBCに臨む侍ジャパンの一員に選出されたのは誰もが知るところだろう。
「オールスターの前にタツと話をした時、『もっと投げさせたいけど、投げさせるわけにはいかんのや』と愚痴っていましたね。評論家の頃は、ロッテの佐々木朗希にしても、ヤクルトの奥川恭伸にしても、『もっと投げさせた方がいい』というのがタツと僕の考えだった。だけど、いざ監督になると、『壊すわけにはいかんのや。現場と外はちゃうんや』と」
22年シーズンは66勝75敗2分けの最下位に終わった。翌2023年の春季キャンプで、野村が再び立浪に順位予想を聞くと、立浪は言った。
「3位にはならなあかん」
1年目を終え、再建にはまだまだ時間がかかると思ったからこそ、前年の2位から目標を下方修正したのではないか。
だが、迎えた2年目も開幕前から誤算が生じるのである――。
〈つづく〉