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「さらば青春の光」効果で「数千セットの在庫が一瞬でなくなりました」 担当者も驚いた“モルックまさかの大ヒット”の舞台裏

posted2023/05/27 06:00

 
「さらば青春の光」効果で「数千セットの在庫が一瞬でなくなりました」 担当者も驚いた“モルックまさかの大ヒット”の舞台裏<Number Web> photograph by KYODO

近年日本でも競技人口が増えたモルック。来夏、函館で世界大会も開催される

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熊崎敬

熊崎敬Takashi Kumazaki

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『Sports Graphic Number』で好評連載中の「スポーツまるごとHOWマッチ」を特別に公開します! <初出:1070号(2023年3月30日発売)、肩書きなど全て当時>

 新しいスポーツが次々と生まれる現代、いまひそかなブームとなっている競技がある。フィンランド発祥の「モルック」だ。

 ヨーロッパ各地では昔から木片を投げて木の棒を倒す遊びが行なわれていたが、1996年に同国で開発されたのがモルック。木片(スティック)を下手から投げ、点数が書かれた12本の棒(スキットル)を倒して先に50点ぴったりに達すると勝ちというルールで、2001年から世界大会も行なわれている。

「ボウリングやカーリング、ダーツの要素があり、体力差は関係ないため、子どもや初心者にも下克上のチャンスがあるんです」とモルックの魅力を語るのは、日本輸入総代理店を務めるOHSサプライ合同会社の行徳映介さん。投げるスティックと、標的となる12本のスキットルが木箱に入ったセットは6280円(税抜)。近頃、模倣品が出回るようになったが、白樺でできたフィンランドTACTIC社製のものだけがモルックと呼ばれる。

 海外玩具の輸入専門商社であるOHSサプライが、モルックの存在を知ったのは'17年のこと。「とてもよくできたゲームなのでスポーツトイの定番になるだろうと思いましたが、短期間でこれほどヒットするとは思いませんでした」と行徳さんは明かす。

「数千セットの在庫が一瞬でなくなりました」

 近年のキャンプブームもあって、コロナ禍に向いた野外遊びとして注目されたモルックだが、この人気はひとりの芸人を抜きに語ることはできない。お笑いコンビ「さらば青春の光」の森田哲矢さんだ。

「なにか趣味がほしいということでモルックを勧められた森田さんが、世界大会に出るくらいこの競技にハマり、テレビや自身のYouTubeチャンネルで熱心に紹介してくれたんです。'20年1月には地上波で森田さんがダウンタウンのおふたりを指導する形でモルックが取り上げられたんですが、このときは数千セットの在庫が一瞬でなくなりました」

 来夏、モルック熱はさらに沸騰するかもしれない。というのも、函館で世界大会が開催されることになったからだ。

「え? じゃあ、いまからでも世界大会に出られるってことですか!?」

 にわかに前のめりになった筆者に、行徳さんが笑みを浮かべながら言った。

「競技人口が急増したので、日本代表として国別対抗のエキシビション戦に出場するのはかなりハードルが高いです。ただ本戦は、旅費と参加費さえ払えば自由に参加できますよ」

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