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甲子園球児が“尊敬する人”は誰? 今も昔も強い「親」、著名人に絞ると…3位・本田圭佑、2位・大谷翔平、1位は…〈センバツ全選手調査〉
text by
岡野誠Makoto Okano
photograph byGetty Images/KYODO
posted2023/04/09 11:00
センバツ甲子園に出場した36校・全641選手の「尊敬する人物」は誰か――
「手の届かない人」が「身近な人」になったことで、球児の票が増えたと考えられる。高松商業では1年生の時に指導を受けた3年生の5人と2年生の1人が名前を記入。同校を含め、センバツ出場36校中19校の球児が「イチロー」を挙げた。
本田圭佑、野村克也が上位の“ナゼ”
順位を見ると、プレーとともに仕事に取り組む姿勢や考え方も重視されているように感じる。150冊を超える著書を残した名選手・名監督の野村克也が逝去から3年経った今も4位にランクイン。「先入観は罪。固定観念は悪」などの格言は老若男女問わず、心に響くのだろう。「財を遺すは下、仕事を遺すは中、人を遺すを上とする」をモットーとしたノムさんも天国で喜んでいるはずだ。
3位には本田圭佑が入った。同姓同名の西武投手の可能性もあるが、母校の東北学院はセンバツ不出場であり、「本田圭佑」と書いた球児で「好きな球団」に西武を挙げた者はいなかった。そのため、サッカーの本田圭佑と総合的に判断した。本田は昨年7票を集めて野村克也、新庄剛志と並ぶ4位タイだったが、今年は票数が倍増。カタールW杯での的確な解説や哲学的な言葉、カンボジア代表のゼネラルマネージャーを務めるなど果敢な姿勢に球児が感銘を受けたのかもしれない。
本田を含め、上記のランキングに入ったスポーツ関連15名のうち10名は海外挑戦をしている。現役時代メジャーへの道が開かれていなかった野村克也、ルーキーの浅野翔吾、大学生の坂下翔馬を除けば、約8割が海を渡っている。
「世界に羽ばたく人」はリスペクトされる
球児のリスペクト条件の1つに、“世界に羽ばたいている人”もあるようだ。2000年の時点では、スポーツ関連10名のうち9名は国内の選手だった。しかし、その萌芽はあった。4位タイの中田英寿は1998年にイタリア・セリエAのペルージャに移籍し、当時はローマで大活躍していた。イチロー、松坂大輔、桑田真澄、上原浩治はその後メジャーに挑戦している。
「尊敬する人物」2位の大谷翔平は、「好きなプロ野球選手」では3位だった。この差は何か。「好きな選手」は自分の参考になりそうなプレーヤーが選ばれやすい。そのため、群を抜いた体格(身長193センチ)を誇る大谷は1位に届かなかったと思われる。見習えないほど“規格外”のため、好きを飛び越えて尊敬すると言えそうだ。昨年のランキングでは「両親」を超えて全体の1位が大谷、2位がイチローだった。
2023年の全体順位をまとめると、1位:両親(60票)、2位:父(50票)、3位:イチロー(39票)、4位:大谷翔平(35票)、5位:兄(32票)になる。6位には意外な人物がランクインした。