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“異様な期待値”のWBC…ダルビッシュ発言に「その考えがあったら落球しなかったかも」G.G.佐藤が語る優勝候補→完敗→中傷の“失敗学”
text by
岡野誠Makoto Okano
photograph byYuki Suenaga
posted2023/02/27 11:02
“世紀の落球”をしてしまったG.G.佐藤だから言える栗山監督への提言、日本代表がプレッシャーに苛まれないための事前策とは
「みんな、どこかで心が繋がってないと感じてたんでしょうね。丸刈り姿を見て、すごく鼓舞されました。『チームをひとつにしたい』という心意気だったと思います。ただ、何かをきっかけに、無理矢理ひとつになろうとしていた。それくらい合流してから大会までの期間が短かった」
「代表辞退続出」が示すもの
15年前の教訓もあってか、ダルビッシュは今回のWBCで宮崎合宿から参加し、チームメイトと積極的にコミュニケーションを取っている。
「北京の反省は、その後の侍ジャパンに確実に生かされている。東京五輪もそうでした。ドキュメンタリーを見たら、本職ではないセンターを打診された鈴木誠也が清水(雅治)コーチに『G.G.さんみたいになったら、かばってくれますか』と言っていた。あのように本音を吐き出せる環境作りが大事だと思います。僕の時は、そんな雰囲気がなかった。何かが起きてからじゃ遅いですから」
痛みに耐えて頑張ることを美徳とする昭和の時代を生きた星野仙一、田淵幸一、山本浩二の首脳陣には右肩痛さえ告白できなかった。G.G.に限らず、当時の代表は村田修一が合宿中に風邪で入院し、西岡剛が首痛と右脇腹肉離れ、川崎宗則が左足第2中足骨の疲労骨折と故障者が続出。シーズン中から腰痛を抱えていた4番の新井貴浩は、帰国後に第5腰椎の疲労骨折が判明したほどだった。
「今回のWBCで辞退者が結構出ていて、『なんで代表を断るのか』という意見もありますよね。僕もそう思う一方で、見方を変えると選手の正直な気持ちが優先されている。言わないだけで、ケガを抱えている選手もいるかもしれない。北京の時のようにコンディションの整わない選手ばかりになって負ければ、結局監督や選手が批判される。栗山監督はメンバーに寄り添って、なんでも言いやすい環境を作っていますよね。素晴らしいと思います」
ダルビッシュ発言をどう考えるか?
侍ジャパン最年長のダルビッシュは「選手やいろんな人のコメントを見ていると、気負い過ぎている。戦争に行くわけではない」と諭している。