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欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
「リバコビッチのPK阻止率は35%だ」“森保監督の盟友”ミキッチはあのPK戦をどう見たのか「クロアチアは間違いなく分析していた」
text by
長束恭行Yasuyuki Nagatsuka
photograph byGetty Images
posted2022/12/08 17:00
日本とのPK戦で4本中3本をストップしたクロアチアの守護神ドミニク・リバコビッチ。ミハエル・ミキッチ氏は同選手を「最高のPK職人」と評した
ミキッチが語る“PK職人”リバコビッチの実力
――試合前日の会見で森保監督は「120分の戦いを見据える」と述べましたが、彼は延長戦かPK戦に持ち込めば日本が勝てると思っていたように見えましたか?
彼はあの試合がどのような展開をしていくのか、信じられないほどよく見えていた。しかし、PK戦では凄まじいほど絶好調のゴールキーパーがクロアチアにいた。つまり、ドミニク・リバコビッチがゾーンに入って驚異的なセーブをしただけだ。私は南野や三笘、吉田麻也を責めるつもりはまったくない。彼らはうまくPKを蹴ったが、リバコビッチの反応は尋常ではなかった。
日本の選手たちがどちらの方向にシュートを蹴るのか、PKの準備や分析としてクロアチアは間違いなく「InStat」などでチェックしていただろう。現在はあらゆるテクノロジーにアクセス可能だ。ここマリボルでもテクノロジーを利用し、相手チームの選手がどの方向に蹴っているかは正確にわかっている。右下なのか右上なのか、それとも真ん中なのか。だからゴールキーパーは容易に準備ができるんだ。これはクロアチアのスタッフやGKコーチを褒めなければならないね。間違いなくリバコビッチをしっかりサポートしたと思う。
――あなたはディナモ・ザグレブのアシスタントコーチだったので、リバコビッチがどんなゴールキーパーか知っていますよね。彼はいつもPKを止めてきたのですか?
リバコビッチは恐ろしいほどPKが得意なゴールキーパーだ。データを見れば、2020-21シーズン以降のPK阻止率は35%(PK戦を除く)。これは凄い数字だ。今季のスーパーカップ(2022年7月9日)のPK戦ではハイドゥク・スプリトを相手に2度防いでいるし(うち1本は枠外)、CL予選2回戦のCFRクルジュ戦(2020年8月26日)でもオンプレーで1度、PK戦でも1度止めてくれて私たちが勝利した。PKストップは彼の大きなクオリティのひとつだ。
――一部メディアは失敗したキッカーを批判していますが、まったく意味はないですよね。単にリバコビッチのセーブが素晴らしかったわけで。
同意するよ。常にPKは“くじ引き”だ。勝利する確率は五分五分だろう。日本にとって大きな不幸だったのは、リバコビッチが最高レベルのゴールキーパーであり、PK職人だったということだ。だからこそ、日本人は代表チームに誇りを持っていい。W杯で日本代表が演じたすべてに対して誇りを持っていいんだ。驚くべき実力を全世界に披露し、日本サッカーを最高の形でプレゼンテーションしてくれたのだから。
<後編へ続く>
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