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トルシエ「南野の復調が必要だ」元代表監督が語ったドイツ戦のキーマンと、グループリーグの日本の選手起用予想
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph byGetty Images
posted2022/11/22 17:02
ドーハで日本代表のトレーニングに参加した南野。トルシエはドイツ戦のキーマンに指名した
日本がどういう陣容と構成であるかはすでに分かっている。それはW杯最終予選を通して構築されたチームであり、苦しい戦いを戦い抜いたチームでもある。予選はスタートで躓き態勢を立て直さねばならなかった。だが彼らは決して恐れを抱かなかった。ハンディキャップを背負ったにもかかわらず突破争いに復帰した。だがそれは、ほぼ15~16人の選手たちだけで成し遂げられたことも誰もがわかっている。だからこのリストで最初に目にするのは、そんな予選を戦った選手たちだ。
2番目のグループは、チームの戦略を変えることのできる選手たちで攻撃陣に多い。思うにリストは少しバランスを欠いている。とりわけ中盤がそうで、多くの選択肢があるわけではない。守田、遠藤、鎌田、柴崎、田中……。もし遠藤と守田が怪我をしたら、また守備では吉田や冨安、板倉が怪我をしたら、代わりになる選手が谷口(彰悟)くらいしかいない。層は厚くはない。
2番目のグループに関しては、攻撃陣は伊東と浅野、南野で試合をスタートできるし、久保や堂安、前田(大然)、三笘(薫)らで試合を終えられる。試合を終えるための駒は多彩で、攻撃のポテンシャルはとても高い。そしてリストの最後のグループは出場機会のほとんどない選手だ。町野(修斗)や相馬(勇紀)、上田(綺世)、伊藤(洋輝)……。若く有望なうえに、チームに加えても問題を起こさない選手たちだ。
たしかに旗手(怜央)のような選手は興味深いが、もしかしたらどこかに問題があったのではないか。柴崎はプレーをしてもしなくともその経験をチームに伝えられる。森保(一)はそういう選手を選んだのだろうと私は推測する。柴崎の最近のパフォーマンスが決して良くはなくとも、彼がいることがチームの保証になる。結果が必要なときに、柴崎が遠藤や守田の後ろでベンチに控えることが、グループに安心感を与えるのだろう。彼のような選手がチームに保証と安定をもたらしている。
大迫の不在に不思議はない
——攻撃に関しては、森保監督が就任から使い続けてきた大迫(勇也)と原口(元気)のふたりを外したのは大きな驚きでした。
トルシエ 大迫はそう不思議ではない。大迫はアジアで戦うにはとても貴重な戦力だ。日本がボールを保持し、ゲームを支配したときは彼の強さが生きる。ボールを60%支配した戦いで彼の起用は納得できるが、W杯はドイツやスペインとの戦いであるのを忘れてはならない。力関係では日本が劣っている。アクションよりもリアクションのスタイルになる。守備も固めねばならず、ボールを保持しての攻撃は難しく、スピーディで素早い攻撃が頼りとなる。だから森保は三笘や前田、伊東、久保といった選手を選んだのだろう。個の力があり、素早い攻撃ができる選手たちだ。大迫が選ばれなかった理由もそこにある。