3位で、青山美夏人（亜細亜大）を指名できたのは驚きだった。

　150キロ近いスピードを出せるパワーもあり、一方で、カーブ、スプリット、ツーシームを交えながら低めを突いて打ち損じを重ねる投球も出来、セットポジションにバリエーションを作って打者の呼吸をかき乱し、ボールを投げる前に「間」で一度勝負している。中日・柳裕也の明治大当時にすごく似てきた。

　そんな投手がなぜ3位まで残っていたか？　その直前に、バタバタッと指名された数人のサウスポー。やはり、ドラフトは左投手の「値段」が高いようだ。

　4位・田中千晴（國學院大）、5位・羽田野温生（東洋大）……大学生の未完の大器だ。

　甲斐野央、椎野新、泉圭輔、大竹風雅……もしかしたら、田中正義もそうだったのかもしれない。ソフトバンクは、そういうタイプの「大学生投手」を支配下ドラフトで獲得し、中には即戦力でチームに貢献した投手も現れた。

　田中千晴は、この秋のリーグ戦で急激に実戦力を高めて、素質開花の兆しを見せた。わき腹故障から快復途上の羽田野温生は、痛みさえ消えたら、常時150キロ前後を期待できる器。仮に「見込み」でも、これぐらいのスケールがないと、ホークスでは間に合わない。

　今年の「ホークスドラフト」は5選手。ホークス支配下に見合うスケールの選手は出尽くした。とはいえ、その倍ほどの育成選手を指名するもう1つのドラフトが待っている。

＜DeNA・オリックス・ヤクルト編へ続く＞