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“厳しすぎる”養成所生活に悲鳴「もうやめたい…」元プロ野球選手が味わったボートレースの“過酷な現実”「1勝がこんなに難しいのか」初勝利まで8カ月
posted2026/02/15 11:37
ボートレーサー養成所での過酷な訓練。「毎日のようにやめたいと思った」という野田昇吾を支えたものとは
text by

曹宇鉉Uhyon Cho
photograph by
Kiichi Matsumoto
◆◆◆
野田昇吾がボートレーサー養成所に入所する3カ月前の2021年7月、妻で声優の佳村はるかさんが第一子の男児を出産した。家族のためにも、絶対にボートレーサーにならなくては――だが、難関といわれる試験を突破して10月に入所した養成所での訓練は、野田の想像をはるかに上回る過酷さだった。
「まず子供に会えないというつらさがあり、減量もあり……。一番苦労したのは勉強ですね。何も知識がないところからエンジンの勉強だったり、法律の勉強だったり。年6回試験があるので、それをクリアするのがめちゃくちゃ大変でした」
帰宅できるのは年2回だけ「子供に忘れられていた」
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ボートレースのオフィシャルサイトでは、養成所での生活についてこのように説明されている。
「まったくの素人からプロを育成するため、訓練は筆舌に尽くしがたい厳しさであり、普通の養成所とは一線を画している」
当然、特別扱いなど存在しない。“筆舌に尽くしがたい厳しさ”を、野田もまた味わっていた。毎日のように「もうやめたい」という思いが頭をよぎる。そのたびに「元プロ野球選手・野田昇吾、ボートレーサー転身を断念」というニュースが報じられることを想像して、思いとどまる。
「どれだけキツくても諦めなかった理由の6割くらいは、それが占めていました。あとの4割は家族のこと。養成所時代は、本当に苦しかったです」
約1年の訓練生活のなかで、年末とお盆の2回だけ自宅に帰る機会が与えられる。卒業間近の2022年8月、久しぶりに愛息を抱いた野田はショックを受けた。
「年末に帰ったときからお盆まで、8カ月空くじゃないですか。そのお盆に会ったときに、子供が『誰、この人』みたいな感じで泣いたんですよね。大きくなりすぎて、忘れられていて……」

