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「妹を初めて心から応援できる」髙木菜那が迎える”特別な冬”とは?
posted2026/01/30 11:00
text by

福田剛Tsuyoshi Fukuda
photograph by
Asami Enomoto
情報番組のコメンテーターやバラエティ番組、さらにはラジオなど、さまざまなメディアで活躍の幅を広げている元スピードスケート・金メダリストの髙木菜那。特に3泊4日で原則としてローカル路線バスと徒歩のみで数百km離れた目的地を目指す「ローカル路線バス乗り継ぎの旅W」では、元アスリートの本領を発揮。持ち前の体力と、強靱な精神力を発揮し、今や番組にとってなくてはならない存在となっている。
「『バス旅』は3泊4日で50kmとか普通に歩くので、本当に辛いです。数カ月前に出演が決まるのですが、中途半端な気持ちだと頑張れないので、徐々に気持ちを整えていって本番を迎えます。毎回、かなり気合いを入れて挑んでいます」
4年に1度に懸ける選手の想いを伝えるために言葉を紡ぐ
そして、いよいよ2月からは本業ともいうべきスピードスケートの解説のため、イタリアへと向かう。
「スピードスケートは14種目ある中の11種目くらいの解説を担当する予定なので、開会式の前に現地に入って、ほぼ1カ月滞在することになります。世界各国の選手全員が4年という月日をかけて、勝利、メダルを求めて戦う場所なので、他の大会よりも想いの強さが全く違います。緊張感も空気感も全てが別物なんです。解説者としては、そういった選手たちの想いを語らなければならないわけですから、テレビの前で応援している皆さんにしっかりと伝えていきたいと思っています」
自分だけが持っている感覚を言葉で表現することが苦手なアスリートも多いなかで、髙木は現役の頃から言語化するのは得意だったという。
「昔から自分の伝えたいことはしっかり言語化しようと意識していたので、気持ちや感情を言葉に表すことには自信があります。ただ、引退してからの方がより言葉の意味をすごく深く調べるようになったかもしれないです。講演をさせていただくこともありますが、私の話したことを聞いて、今後に活かそうとしている人もいれば、家に帰って子どもたちに伝える人もいるかもしれない。私自身もいろいろな方からかけていただいた言葉が自分の人生を動かしていると感じているので、大切に言葉を紡いでいきたいと思うようになりました」
約1カ月の大舞台。乾燥した海外でのどを守る『龍角散ダイレクト』
大舞台の解説に向けて、どんなしゃべり方をすれば多くの人に届くのか。すでにプランはできている。
「ちょっと低い声の方が人の耳になじみやすいと思っているので、少し声のトーンを落として、見てくださってる人たちの耳に届きやすい声で、ハキハキとしゃべりたいと思っています」
しかし、唯一の不安となっているのが、酷使することになる、のどの調子だ。
「私は元々のどがすごく強いようで、普段はのど飴をなめるくらい。特別なケアはしていません。日本にいるときはそれでも大丈夫なのですが、海外のホテルはとにかく乾燥しているので、それだけが不安です。海外に行くときは常に湿度計がついている時計を持っていくのですが、日本のホテルだと低くても30%くらいなのが、海外だと20%以下を意味する『LOW』と表示が出て計測できないんです。少しでも乾燥を防ごうと、バスタオルを濡らしてハンガーにかけておいたら、朝起きるとパリパリに乾いていますから(笑)。約1カ月過ごすことになるのでさすがに、のどには気をつけたいと思っています」
そんな髙木が、のどのケアのためにミラノに持参しようと考えているのが、『龍角散ダイレクト』だ。
「昨日収録が長時間続いたこともあって、さっき『龍角散ダイレクトスティック』を飲んでみたら、スッとした清涼感の後に、のどにうるおいが広がっていくのがはっきりと分かりました」
のどがうるおうとともに顆粒タイプなのに水なしですぐに服用できるところも気に入ったポイントだ。
「テレビの収録中は飴をなめているわけにはいかないので、これまでは『のどが乾燥しているのかな』と思いながらも話すしかありませんでした。でも、『龍角散ダイレクト』があれば、いつでもサッと飲めるので、講演の始まる前とかテレビの収録前などこれから話すぞという直前でも、のどをケアできるのはすごく良いですよね。龍角散と聞いて苦い薬の味をイメージしたのですが、味もすごく飲みやすい(笑)。朝のケアはさわやかなミント、ちょっと幸せな気分になりたいときはピーチと使い分けるのも面白いと思いました」
選手として共に戦った妹を、初めて心から応援する大会に
今大会には、妹の髙木美帆が3大会連続4度目の出場を決めている。髙木にとっては、一人の姉として初めて妹を応援する大会となる。
「美帆が中学生のときに出場した2010年のバンクーバー大会も客席から応援していましたが、このときは私も選手だったので、美帆を妹というよりも競争相手として見ていました。だから心の底から応援するという気持ちにはなれなくて。競技を離れ、フラットな気持ちで妹を応援できるのは今大会が初めてなので、どういう感情が生まれるのかは実際に現地に行って応援してみないとちょっと想像できない。自分でも楽しみにしています」
姉の菜那が妹を一選手として見ていたように、妹の美帆も同じ選手である姉の滑りに声援を送ることはなかった。ただ一度、最後に出場することになった北京大会の出場選手を決める代表選考会で、姉妹の絆を感じた応援があったという。
「このとき私は1500mの代表権の残り一枠を取るために争っていたのですが、そのレースの滑走順が妹より前だったんです。妹は基本的に自分より前に滑る人のレースを見ることはないんです。だけど、そのときだけは特別だったみたいで、普段私は美帆から『ねぇ』って呼ばれているんですけど、『ねぇのレースは見るしかなかった』と応援してくれていたみたいで。お互いが真剣に戦い合ったからこその行動だったのかなと思いつつも、すごく嬉しかったのを覚えています」
選手にとって声援は「最後に背中を押してくれるもの」と髙木は言う。
「スピードスケートの場合、3000m以上の長距離は短距離に比べて滑るスピードが緩やかで、気持ちにも多少余裕があるので『頑張れ』という声援がしっかり聞こえるんですけど、短距離はスピードも速いし、集中しているので『わー』っという歓声としか選手は分からない。それでも、これだけ多くの人が見てくれているのを感じて、すごく大きな力をもらえるんです。だから私が応援するときは、たとえ選手に届かないとしても目一杯大きな声で声援を送ります。ぜひ、現地に応援に来る方もテレビで観戦する方も、選手たちにたくさんの声援を送ってほしいですね」
競技の魅力や楽しさを伝える者としては、応援する人にも、スポーツを楽しんでもらいたいという想いがある。
「日本の選手に頑張れという声援を送るだけではなくて、世界各国の選手も同じくらい頑張っています。どの選手が強いのかといった情報だったり、ルールも知っておいた方がより楽しめると思うんです。今、TVerで私がMCとしてレジェンドの方をお招きして、スポーツの魅力を伝える番組を作っています。『龍角散ダイレクト』でのどをうるおしながら、たくさん話をしているので、ぜひ大会前にその番組を見てもらって、一緒に応援してもらえると嬉しいです」
2月6日、開会式を迎える冬の祭典。妹を応援する一人の姉として初めて迎える大会がいよいよ始まる。
髙木 菜那Nana Takagi
1992年7月2日生、北海道出身。7歳から兄の影響でスピードスケートを始め、帯広南商業高校時代には、2010年世界ジュニアスピードスケート選手権チームパシュートで妹・美帆らと銀メダルを獲得。高校卒業後は日本電産サンキョーに所属し、2014年ソチ五輪で初めて日本代表に選出。2018年平昌五輪では、女子団体パシュートで金メダル、さらに新採用されたマススタートでも金メダルを獲得し、日本の女子選手として初めて冬季五輪同一大会で2冠に輝いた。2022年の北京五輪にも出場し、女子団体パシュートで銀メダルを獲得。同年4月に現役を引退。現在はスピードスケートの解説者やタレントとして多方面で活動。2月には初めての著書も出版する。2026年のミラノ・コルティナ五輪では、ジャパンコンソーシアムの競技解説者として女子1000m以上、男子1500m以上の種目を担当する。





