大津は、きれいなオーバーハンドから速球、カットボール、ツーシーム、スプリットで低めを突いて、失投のない安定感。平井克典（ホンダ鈴鹿）、森脇亮介（セガサミー）……社会人球界の実力者をひっそりと獲得して、貴重な戦力として活用する。そんな「西武」の系譜に乗っかってくる実力派だ。

　1位・松尾捕手に続いて、大阪桐蔭高の5番・海老根優大を4位で指名だ。

　これで、「西武の大阪桐蔭」は何人になるのか……中村剛也をリーダーに、一大派閥になろう。

　海老根は元々、千葉のボーイズリーグのスーパープレイヤー、有り余るほどの馬力とスピードが光るアスリート系だ。今季チーム60盗塁はパ・リーグでいちばん少なかった。「機動力・西武」復活のためにも、走れるヤツの獲得が急務だ。

　というわけで、快足ランナーをもう1人。5位・辰見鴻之介（西南学院大）の獲得につながっていく。九州の大学リーグで、球場を縦横無尽に駆け回った快足が50m5秒台。走ってくるのがわかっていても刺せないレベルのスタートダッシュの鋭さとスライディングスピードだ。

　6位・伊藤千浩（東北高）の場合は、外野手として指名したが、実はまだポジションが確定していない。打者として、レフトスタンドはるか上空を場外に飛び出した大放物線も目撃した。長身から豪快に投げ下ろして145キロ前後を続けた迫力も見ている。2月のキャンプ前に、ファームのコーチたちに「争奪戦」をしていただいて決めてもらえばよいと考えている。

“リーグワースト”エラー数の阪神が2位指名するのは…

【阪神　2022年ひとりドラフト指名選手】

1位　曽谷龍平　21歳　投手　白鴎大　182cm80kg　左投左打
2位　田中幹也　21歳　遊撃手　亜細亜大　166cm66kg　右投右打
3位　川原嗣貴　18歳　投手　大阪桐蔭高　188cm85kg  右投左打
4位　日高暖己　18歳　投手　富島高　183cm77kg  右投左打
5位　林優樹　20歳　投手　西濃運輸　173cm75kg  左投左打
6位　澤井廉　22歳　外野手　中京大　180cm98kg  左投左打

【阪神　総評】

　シーズン開始早々の「矢野燿大監督、シーズン後辞任騒動」。

　そのショックか、シーズン序盤はゆらゆらした時期もあった阪神。だが終わってみれば、首位ヤクルトには12ゲーム差をつけられたものの、4位巨人に0.5ゲーム差で、辛くも「Aクラス」に踏みとどまった。やはり戦力、つまり選手たちの力量がそれなりに充実していたに違いない。

　今季、12球団ベストのチーム防御率（2.67）をマークした阪神タイガース。リーグでは本塁打もいちばん打たれてないし、奪三振数も最多に近い。四球はいちばん少ないのだから、ケチのつけようがない。

　こういう時にさらに増強して、磐石の投手陣にしておこうというのが、本来の「補強」の意味であろう。

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