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「“リーグワースト”失策数の阪神が2位指名するのは?」「西武は大阪桐蔭5番を4位指名」ドラフト全指名予想《西武・阪神・ホークス編》
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph bySankei Shimbun
posted2022/10/19 11:06
ドラフト目玉候補の田中幹也遊撃手(亜細亜大・166cm66kg)
1位・曽谷龍平(白鴎大)が、ロッテとの2球団の競合で済んだのは「朗報」だった(※オリックスが1位指名を公表しています)。白鴎大の先輩・大山悠輔内野手がいるのは、たまたまのこと。曽谷投手は、今ドラフトでベスト3に入るサウスポー。あくまでも、実力を正当に評価しての「1位」だ。
左腕にしか投げられないクロスファイアーが、ホームベース上でえげつない角度を作る。「あれ」をさばける右打者は、プロでもそうはいないはずだ。カットボール、スプリットも打者の手元で鋭く動いて、バットの芯を外す。キャッチボールをすごく大事にする意識も、それ自体が大きな伸びしろだ。
投手陣を万全にするなら、守備力も上げないと不十分だろう。投手成績とは対照的に、リーグワーストになってしまった守備力。2年目・中野拓夢遊撃手はほぼ全試合に出場して、打率.276、23盗塁と大奮闘したが、18失策はリーグのレギュラー遊撃手でワーストの成績となった。
2位・田中幹也(亜細亜大)は、今すぐでもプロトップクラスの守備力の持ち主だ。打球反応、敏捷性、正確さ、ハツラツとしたプレースタイルは人気者になれる。無類の頑張り屋さんだ。
元々、大学、社会人当時は中野拓夢は二塁手で上手い選手だった。田中幹也も同様の高いレベルで、二塁、遊撃どちらもこなせる選手だけに、二塁・中野、遊撃・田中で試合終盤に備えるプランがあってよい。
阪神5位指名は「吉田輝星と投げ合った人気サウスポー」
今夏甲子園で注目された本格派右腕を2枚続けて、指名した阪神。昨秋以降、春・夏を経て、実戦力をぐっと上げてきたのが3位・川原嗣貴(大阪桐蔭高)。もともと抜群の全身のバネと野球センスで遊撃手をこなしてきた4位・日高暖己(富島高)は、甲子園での快投で株を上げた。角度抜群の球筋と、個人的には、失点直後に毅然とした態度でマウンドに戻っていく姿に、彼の人間としての「芯」を感じた。
5位・林優樹(西濃運輸)も「甲子園」に縁の深い投手。近江高時代も人気サウスポーだったが、金足農高・吉田輝星(現・日本ハム)との投げ合いの中、最後の最後に2ランスクイズで敗退。強烈な印象を甲子園のグラウンドに刻みつけた。
故障のため、なかなか本調子になれなかったのだが、今季はようやく本気投げできるようになった。投球センス抜群なだけに実戦に強い。打者の打ち取り方を知っている。緩急と「間」で勝負する。
とんでもない飛距離を発揮できるロングヒッター。教えて出来る「芸」じゃないだけに、いる時に獲っておかないと……6位・澤井廉(中京大)も、そういうタイプだ。
振り過ぎるほど振るスタイルなだけに、なかなか精度と両立できないのは仕方ないが、タイミングが合った時の「打った瞬間」は痛快アーチとなる。見るからに屈強そうな筋肉の発達は、格闘技の選手を見ているようだ。