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「ドラフト候補“高校生ナンバー1投手”は夏の甲子園に出ていなかった」巨人の守護神・大勢タイプ…2022年ドラフト目玉候補《投手ベスト3》
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byKYODO
posted2022/10/16 11:00
ドラフト目玉ベスト3 投手編【1】トヨタ自動車・吉野光樹（176cm78kg・右投右打）
夏の予選の後にグラウンドを訪れたスカウトのスピードガンでは「150キロ」をクリアした……そんな話も、耳に入ってきた。
タイプとしては、今、売り出しのジャイアンツの守護神・大勢だろうが、安西投手には、変化球のバリエーションという稀少価値もある。
スライダー、カットボール、ツーシーム、スプリット……速い系ばかりでも、どれも勝手に激しく動いて135キロ前後。
「真っすぐより速いです、安西さんのスプリット」
いつも受けている捕手さえおびえるものすごい強さ。勝手に激しく動かれるだけに、捕手のミットの中の左手への破壊力もすさまじいのだろう。
不運にして、今夏の甲子園予選は、チーム全体がコロナに見舞われ、よもやの4回戦敗退。チーム力自体は、「静岡制覇」でもぜんぜんおかしくない充実ぶりだっただけに、本人にとっても、3年間の集大成を見られなかったプロ側にしても、なんとも残念な「夏」となった。
持っている投球能力にスケール、将来性、稀少なタイプであることも加えて、自信を持って「ドラフト候補・高校生No.1」に推せる大器と見ている。
投手編【3】慶応大・増居翔太（171cm72kg・左投左打）
そして、3人目だ。
実戦で投げている姿を見るといつも、「こういうのがピッチャーっていうんだよなぁ……」と、ひとりで勝手に見入ってしまうのが、慶応義塾大・増居翔太投手（171cm72kg・左投左打・彦根東高）という小柄なサウスポーなのだ。
せいぜい「130キロ」ぐらいの力感で、先発の初回スタートから140キロ前半、時には145キロに及ぶ速球を両サイドにきめられる精度の高さ。当たり前のような涼しい顔で、淡々と飄々と投げ進める「日常感」がすごくいい。立ち上がりがこんな感じの投手なら、バックもすごく快適に守りを始められる。
スライダー、カットボールに、沈む系はツーシームにスプリットか。大げさな動きではなく、音もなくスッと動かれると、打者は打ち損じた理由がわからないから手を打てず、次の打席でも、またやられてしまう。
ノンパワーの145キロ……それも打ちにくいが、真っすぐを狙われていると察すると、緩急でカウントをとりにくる「アンテナ」の性能も優秀だ。
「（阪神・伊藤将司投手よりも）上かもしれない」
手ごわそうな左打者には、内角を速球やカットボールで執拗に攻めて、どん詰まりの打ち損じに仕留める。左打者の内角を攻められる気概と技術を持ったサウスポー……プロでいい仕事ができるこういう左腕はなかなかいない。プロの2年間の先発ローテーションで19勝を挙げた阪神・伊藤将司投手が、ちょうどそういうタイプだ。
