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カープがドラフト1位指名を公表…苫小牧中央高の右ピッチャー・斉藤優汰とは何者か?「小説が好きなんです」記者は彼の“説明力”に驚いた
posted2022/10/15 17:00
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
Sankei Shimbun
今年の北海道の高校野球は、とても忙しかった。正確にいうと、今夏までの高校野球……昨秋から1年間のことだ。
ここ2、30年の北海道の高校球界を見渡して、ほとんど現れたことのないレベルの選手が、特に「投手」のポジションで、次々に現れてきたから驚いた。
昨シーズンも、北海高に木村大成という本格派左腕が登場。アベレージ140キロ前半の速球と、カーブのような落差を持つ鋭いスライダーを武器に三振の山を築き、私はこの逸材左腕を「直近30年の北海道高校球界でNo.1サウスポー」と評した。木村投手は昨秋のドラフト3位でソフトバンクに指名され、プロ野球に進んだ。
苫小牧から“田中将大以来”のスケール
そして今季。北海道では、駒大苫小牧高・田中将大(現・楽天)以来のスケールと将来性を有する本格派右腕である、苫小牧中央高・斉藤優汰(189cm87kg・右投左打)がドンと現れると、昨年の北海高・木村大成を追うようにして、左腕にも本格派の逸材たちが登場(この原稿を書いたあと、カープが斉藤投手のドラフト1位指名を公表した。カープが高校生投手の1位指名を公表するのは10年ぶり)。
東海大札幌高・門別啓人(182cm85kg・左投左打)、知内高・坂本拓己(180cm85kg・左投左打 ※記事後半に本人コメント)に加え、夏の札幌支部大会で最速148キロ……今夏の甲子園大会に出場した札幌大谷高・森谷大誠(172cm84kg・左投右打)も、その1人に挙げられよう。
その他にも、「北・北海道」から今夏甲子園に出場した旭川大高・池田翔哉(182cm79kg・右投右打)に山保亮太(184cm82kg・右投右打)。野手でも、無名ながら高校生離れしたパワーヒッティングの北星学園大附高・若山空蒼一塁手(180cm84kg・左投左打)に、一時体調不良で戦列を離れたものの、強肩・強打は道内No.1とも評される東海大札幌高・唐川侑大捕手(176cm82kg・右投右打)……斉藤、門別、坂本、唐川選手は、プロ志望届を提出して、「10月20日」を待つばかりになっている。
斉藤「小説を読むのが好きなんです」
今年5月の終わり頃、春の北海道大会(札幌・円山球場)で見た苫小牧中央高・斉藤優汰。
そのマウンドでの立ち姿の雄大さを忘れない。
当時の資料で187cm85kg……数字の大きさ以上に、北海道のいちばん大きな大会で、これだけ大きく立てていることが魅力だった。
正面から見た時のユニフォーム姿の面積の大きさはそのまま骨格の大きさを表し、この先、練習と栄養でいくらでもボリュームアップできるフィジカルの将来性を約束していた。
加えて、体の前面に集中する内臓の重さを後ろから支えている背筋の強さ。何より、自らの「投」に寄せる確固たる自信だ。勝てる、勝ってやる!という自負がなければ、ああは上から、打席の打者を見下ろせるわけがない。