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サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
W杯イヤーに顎を骨折…中村憲剛が語る“本大会前の選手心理”「もう呼ばれないんじゃないか、と」「当確印が出ていても不安は消えない」
text by
中村憲剛+戸塚啓Kengo Nakamura + Kei Totsuka
photograph byKenzaburo Matsuoka/AFLO
posted2022/09/22 11:06
南アフリカW杯を控えた2010年2月に下顎骨を骨折し、スタンドから試合を観戦する中村憲剛氏(同年3月)。懸命なリハビリを経てW杯への切符をつかんだ
けれど、試合に出た選手には頑張ってほしい。「失敗しろ」なんて思えなかった。ずっと一緒に戦ってきた仲間ですし、日本代表にももちろん勝ってほしいと思って観戦していました。
ですから、板倉や浅野がどんな気持ちで過ごしているのか、僕にはある程度想像ができます。自分が不在の間に誰かが台頭し、自分の居場所が無くなったらどうしようと、不安になると思います。不安に負けそうな自分を、奮い立たせているに違いない。とにかく焦らずに、1日でも早く良い状態で戻れるように集中してほしいです。
14年のブラジルW杯を前にしたタイミングでは、川崎フロンターレのチームメイトだった大久保嘉人と「セットで選ばれるのでは」と報道していただいたりもしました。しかし、前年6月のコンフェデレーションズカップを最後に代表から離れていたので、僕自身は率直に言って10年の時のような感覚では考えていませんでした。
ただ、14年は調子が良く、選手としても10年の時よりチームに貢献できる自信があり、周りの後押しも感じて密かに期待を膨らませていたところはありました。実際には選ばれることはなく、メディアの皆さんからは「残念だったね」と言ってもらったのですが、もちろん残念で落胆もしたけれど、よくよく振り返ると1年間も選ばれていなかった選手が「落選」というのはちょっと違うのかなと、時間が経ってから思いました。
「当確印」が出ていても選手はナイーブになるもの
話を現在の日本代表に戻すと、選手心理は人それぞれです。客観的に見て「当確」の印がついている選手でも、少なからず不安を抱えているもので、とくにW杯開幕数カ月前のこの時期になると、所属チームでのパフォーマンスにナイーブになっている。みなさんが思っているよりも、選手たちはプレッシャーを受けています。
そういった様々な要素もありますが、最終的に1番大事なのはピッチ上でのパフォーマンスになります。色々なものを抱えたうえで、そこにどれだけこだわれるか。
おそらくこの2試合で、様々なものが見えてくるでしょう。ここで多くのことが決まるとの見方がある一方で、チーム結成からのトータルの流れで決まるものもあるとの見方もできます。心理的に難しい状況ではありますが、選手にはそれぞれに持ち味を発揮して、森保監督が最後まで選考に悩むようなパフォーマンスを見せてほしいと思います。
対戦相手のアメリカ、エクアドルも骨のある相手なので、非常に楽しみです! みんなで日本代表を応援しましょう!
<前編から続く>
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。