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羽生結弦が「甲子園優勝→プロは引退なのか?」と会見で提起…フィギュアスケートの「アマ」と「プロ」の違いって何だ?
posted2022/07/27 17:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Asami Enomoto
そのひとことは、核心を突くような問いかけだった。
「実際、甲子園の選手が野球を頑張っていて甲子園で優勝しました。プロになりました。それは引退なのかなと言われたらそんなことないじゃないですか」
7月19日、羽生結弦は記者会見を開いた。その席上での言葉だ。
プロとアマの境目とは?
フィギュアスケートでは、オリンピックや世界選手権をはじめ、大会に出場する選手を「アマチュア」とし、競技生活を終えてアイスショーなどで滑るスケーターを「プロフィギュアスケーター」としてきた。
ただ、羽生の指摘する通り、野球やサッカーなどのように、アマチュア→プロとなって競技で活躍するイメージが一般には強い。そのためフィギュアスケートのファンでなければ、プロとアマの区分けと名称は分かりにくい。
あらためてその仕組みを簡略に記せば、アマチュアとプロとでは、「大会に出るか、出ないか」という違いがある。
大会に出るためには連盟への選手登録が必要であり、日本であれば日本スケート連盟に登録することで国際スケート連盟にも所属している形となり、国内外の大会に出場できる。選手登録がなければ出ることはできない。一部、出場できる大会もある。例えば毎年秋に行われる「ジャパンオープン」では、プロスケーターも出場することができる。ただ、国際スケート連盟公認の大会ではあるが、「公式大会」ではないため、それが可能になっている。
羽生が覆した概念
また、「大会出場=アマチュア」であるのに対し、必ずしも「アイスショー=プロ」ではなく、競技に取り組んでいる選手がアイスショーに出演することはよくある。現役時代の羽生を含め、実際に多くの選手がアイスショーに出演している。その点も、フィギュアスケートに親しみがない人にとって、分かりにくさを生んでいるようだ。
羽生は公式大会に出ない決意を表明し、選手登録の取り消し手続きをとり、プロスケーターとなった。