「アマチュアは試合という本番に向けて、練習の中で仕上げていきますが、プロはほぼ毎日試合があるので、ゲームの中で微調整や修正をしていくことがメインになります。その捉え方の違いに、サポートする側も合わせていかないといけません。また、高校や大学で野球に捧げてきた時間が長い選手たちと、僕や東大生との感覚は当然異なります。サポートする上では選手の感覚に沿った説明が必要で、そのアジャストは今も行なっています」

　しかし、こうした苦労と同時に、東大時代とは違った面白さがプロにはあるという。

「プロの選手はイメージしたことを再現する能力が高い人ばかりです。そのため、僕の分析やアドバイスが結果としてすぐに出る場合が多い。そういう意味ではやりがいがありますし、東大時代とは違う野球の面白さを感じています。とはいえ、佐々木朗希投手のように、球種や傾向などデータがある程度集まっていても、打てない場面もあり、野球のレベルの高さと難しさを日々感じています」

　東京六大学野球で立ちふさがる壁に、データで戦うという風穴を開けた東大野球部だが、野球継続OBは次のステージでさらなる強固な壁に当たっているようだ。しかし、一野球ファンとしては、彼らがどんな方法で突破するか、非常に楽しみである。そして、それは全国の非野球エリートの球児たちにとって、大きな指針になるに違いない。

＜前編から続く＞