高校野球から“消えた名将”…あの甲子園“奇跡の2連覇”監督は今「勝てなくなった名門大学を再建」胴上げ拒否事件も…「噓だろ？ やるわけねえだろ？」

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　グラウンドを見つめる香田の目は怖いくらいに冷めていて、にもかかわらず、異様なほどの熱を発しているようにも感じられた。

　西部ガス時代、香田に足りなかったものがわかった気がした。「教育」である。香田は、野球に教育を掛け合わせることで発火するのだ。

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「未成年だと思うと、学生だと思うと、こうしてあげたい、ああしてあげたいというのがどんどん出てくるから、厳しくも言えるっていうのがあるんだよね。社会人時代は野球が終わったら『お疲れさん』みたいなところがあってね。大人同士だから、割り切って付き合ってるところがあった。でも今は24時間、生活を共にしているから言えることもある。母校だし、選手は自分の後輩でもあるわけじゃない。そうなると、自分の言葉の出てき方がぜんぜん違うだよ。ミーティングをしていても、いっぱい言葉が出てくる」

円陣で熱を込めて話をする香田　©Kei Nakamura

帰りの車の中で「よくなってきたなー」

　この春も駒澤大は決して順風満帆だったわけではない。第1週こそ専修大に2勝1敗で勝ち越したが、第2週はエースの仲井が右手中指の腱を痛めて離脱したこともあり、東農大に1勝2敗で負け越し。第3週の拓大戦では初戦を落として迎えた2戦目、10－1の大量リードで迎えた9回に一気に10－9まで詰め寄られる。しかも、最後の打者のショートゴロはアウトになったが微妙な判定だった。打者走者の一塁到達の方が早かったようにも見えたのだ。

　もし、あの判定がセーフなら同点となり、流れからいって負けてもおかしくなかった。試合後、香田は憔悴しきった様子で、こう本音をもらしたものだ。

「負けてたら……いや、もう、ほんとやばいな、と。這い上がって来れなくなってたと思うよ」

　ところが、ここから駒澤大は粘った。次節の国士舘大戦は2勝1敗で勝ち越し、先延ばしとなっていた拓大との3戦目にも勝利。最終節の立正大戦はストレート勝ちで勝ち点を奪った。優勝の行方は勝ち点および勝率で並んだ専大との決定戦に持ち越されたが、そこでも3－1で快勝し、2部優勝を決めた。

　香田が回想する。

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