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「タイトルホルダーはキタサンブラックを超えたか?」宝塚記念を圧勝で凱旋門賞へ…今年の“チームジャパン”が他国を苦しめると確信する理由
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byPhotostud
posted2022/06/27 11:10
宝塚記念を他馬を寄せ付けない強さで圧勝したタイトルホルダーと横山和生
“唯一の負けパターン”すら消滅させてしまった
スタートはメンバー中一番の速さで、ゲートからの数完歩でハナに立った。やや立ち遅れたパンサラッサが上がってくるのを待ち、先に行かせてから折り合いをつけた。
「ゲートからしっかり出して行って、来るなら来いという気持ちで乗りました。ペースは速かったですが、この子とリズムよく走ればいい結果がついてくると思っていたので、ぼくが怯まないよう馬を信じて乗りました」
祖父・富雄、父・典弘につづくレース史上初の親子3代制覇をなし遂げた横山にそう言わせたのは、タイトルホルダーの力である。ともにレースをしながら、タイトルホルダーは騎手・横山和生を育てている。騎手に競馬を教えることができる名馬に、いつの間にか、なっていたのだ。
これまでのキャリア5勝はすべて逃げてのものだったが、番手からの競馬でも力を出せるようになった。負けるとしたら、パンサラッサのような、自分より速い同型がいるときだと思われたのだが、その唯一の負けパターンを消滅させた。
凱旋門賞で「チームジャパン」に期待できる理由
レース後、栗田調教師は、秋は凱旋門賞(10月2日、仏パリロンシャン芝2400m、3歳以上GI)に直行すること、騎手は横山和生で行くことを明言した。
この馬と、ダービーを勝ったドウデュースが参戦するということで、筆者が思い出したのは2011年のドバイワールドカップだ。ヴィクトワールピサとトランセンドによる日本馬の1-2フィニッシュで決まったこのレースには、女傑ブエナビスタ(8着)も出ていた。ヴィクトワールピサを管理した角居勝彦元調教師は「タイプの違う最強馬が3頭出ていたことで、どんな流れになっても、どれか1頭には都合がよくなったわけで、それもよかった」と話していた。
今年の凱旋門賞も、先行するタイトルホルダーにとって都合のいい緩い流れになると、末脚勝負のドウデュースには厳しくなるが、流れが速くなれば逆になる。どっちに転んでも、どちらかには有利になる。これら2頭の間で競馬をするディープボンドが今年も参戦すれば、ますます11年の再現に期待したくなってしまう。
3頭が揃えば、他国にとってはかなり厄介な「チームジャパン」になるだろう。