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「タイトルホルダーはキタサンブラックを超えたか?」宝塚記念を圧勝で凱旋門賞へ…今年の“チームジャパン”が他国を苦しめると確信する理由
posted2022/06/27 11:10
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Photostud
長距離GIを2勝していたスタミナ自慢が、驚異的なレコードで春のグランプリを制し、世界制覇へ名乗りを上げた。
第63回宝塚記念(6月26日、阪神芝内回り2200m、3歳以上GI)で、横山和生が騎乗した2番人気のタイトルホルダー(牡4歳、父ドゥラメンテ、美浦・栗田徹厩舎)が2馬身差で優勝。菊花賞、天皇賞・春につづくGI3勝目を挙げ、秋は世界最高峰の凱旋門賞に臨むことになった。
タイトルホルダーはキタサンブラックを超えたか
逃げたパンサラッサの1000m通過は57秒6。数字がターフビジョンに表示されると、場内がどよめいた。
この超ハイペースのなか、タイトルホルダーは、パンサラッサを3、4馬身前に見る2番手につけた。後ろは2馬身ほど離れた「単騎2番手」と言うべき絶好のポジションだ。
4コーナーで外からパンサラッサに並びかけ、直線へ。パンサラッサをあっさりかわすと1完歩ごとに差をひろげ、後ろから迫り来るヒシイグアスやディープボンド、デアリングタクトらに影も踏ませず、先頭でゴールを駆け抜けた。横山は、左手を挙げて喜びを表現し、タイトルホルダーの首筋を軽く叩いて激走を労った。
「すごく支持していただいていましたし、緊張はしませんでしたが、いい結果を出さなければと思っていました。何回も乗せてもらっているので、リズムよく直線に向くことができればタイトルホルダーは頑張ってくれます。直線はしっかり脚が残っていましたし、これはいいんじゃないかと思いました」
勝ちタイムは従来の記録をコンマ4秒も短縮する2分9秒7。
他馬の騎手たちが「ペースが速かった」「追走に苦労した」という流れのなか、楽に2番手につけて押し切った。ハイペースに乗じた差し馬が好タイムで勝つことはままあるのだが、自分も速い流れのなか先行して突き抜けてしまったのだから、他力本願などではなく、本当に強い。
脚質の似たキタサンブラックの全盛期に肩を並べたと言っても……いや、キタサンは宝塚記念を勝てなかったのだから、もはや超えたと言っていいかもしれない。天皇賞・春の勝ち馬が同年の宝塚記念を制したのは2006年のディープインパクト以来である。