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「2試合で2点獲った選手を前半で代えるのかぁ…」あの熱狂から20年、稲本潤一42歳が語った日韓W杯の“忘れがたい悔しさ”

posted2022/06/02 11:04

 
「2試合で2点獲った選手を前半で代えるのかぁ…」あの熱狂から20年、稲本潤一42歳が語った日韓W杯の“忘れがたい悔しさ”<Number Web> photograph by JMPA

2002年の日韓W杯ベルギー戦、左足を振り抜いてゴールを決める稲本潤一。日本中を熱狂させた20年前の記憶を紐解いてもらった

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寺野典子

寺野典子Noriko Terano

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JMPA

2002年、日韓ワールドカップ。ベルギー戦とロシア戦で2試合連続ゴールを決めたヒーローは、20年前の“熱狂”をどう記憶しているのか――。元日本代表MFの稲本潤一選手(南葛SC)のインタビュー記事をお送りします。(全2回の1回目/後編へ)※文中敬称略

 2002年6月4日。ワールドカップ日韓大会5日目、日本は初戦を迎えた。

「ワールドカップのアンセムが流れて、階段を登って、グラウンドに出ていき、スタジアムに鳴り響く歓声を耳にした瞬間というのは、さすがに震えるものがありました」

 あのベルギー戦から20年目を迎えようとしている2022年の春、稲本潤一は当時をそう振り返った。42歳となった今季も、関東サッカーリーグ1部の南葛SCに所属する現役選手でもある。

 1997年、ガンバ大阪の一員として17歳6カ月でJリーグ初出場。これは当時のJリーグ最年少記録だ。1995年にはU-17世界選手権エクアドル大会(現U-17ワールドカップ)にも出場しており、小野伸二や高原直泰とともに将来を嘱望された。17歳の彼のことは今もよく覚えている。童顔に似合わない長い手足が印象的で、レオナルド・ディカプリオのようだな、と思ったりもした。

「狙ったというよりも、思い切り打っただけ(笑)」

 そんな稲本がワールドカップ初戦のベルギー戦で、一時逆転弾となるゴールを決める。

 相手DFの縦パスをインターセプト。そのこぼれ球を拾った柳沢敦からのパスを受けると、一気にゴールへと駆け抜ける。相手をひとりかわし、左足でシュートを放った。

「高い位置でボールを奪ってそのままゴールへ行く、というのは自分自身の特長でもあるので、持ち味がきっちり形になった得点でした。あのシーンはよく覚えていますね。狙ったというよりも、思い切り打っただけです(笑)。僕から見て右サイドに左足で蹴ろうとしか考えていなかった」

 その言葉通り、身体を大きく使った思い切りのよいシュートだった。右側のネットを豪快に揺らしてゴールイン。即座に「俺が決めた!」とばかりに人差し指で自分を指す姿は、当時の稲本の勢いを示しているようでもあった。

「弾道は見ていたけれど、そのあとのことは、あんまり覚えていないんですけどね(笑)」

 20年前の記憶が断片的であることもまた事実なのだろう。ワールドカップのメンバー発表の記憶も「ほとんどない」と明かした。

【次ページ】 「凄さを理解していなかった」ゆえに気負いは皆無

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