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浦和レッズが本気でJ1優勝を狙うなら…「残りは全部勝つ」飢餓感と野心はあるか?《開幕戦・京都サンガに敗戦》
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byKyodo News
posted2022/02/21 11:02
京都との開幕戦はスリリングな内容だった。しかし1敗したという事実を浦和はどう受け止め、今後につなげるか
「サッカーがしたい、試合に勝ちたい、浦和レッズで優勝したい……。サッカーとレッズに対して、そうした飢えと純粋な熱を持った人たちの集合体にならなければ、上位との差は埋められない。勝負を分けるのは、本当に勝ちたいという欲を持てるかどうか。『ハンガー』『飢餓感』は大事なキーワードとして継続していきたいです」
まさに、タイトル獲得の絶対条件だと思う。
そうした言葉に照らし合わせて京都戦を振り返ってみると……。
ピッチ上の選手たちから、闘う姿勢や勝利への飢餓感はたしかに伝わってきた。だが、細部の細部まで行き届いていたと言えるだろうか。
「止める・蹴る」の技術を追求するムードは生まれているが、後半に再三迎えたシュート場面で、つま先まで意識を集中し、狙いすましてシュートを放てただろうか。
京都のハイプレスをかわしてハイラインを攻略した岩波拓也と西川周作のロングキックは素晴らしかったが、その先でもっと相手にダメージを与えるような攻撃を構築することはできなかったか。
後半4分の失点の場面では、スローインから左サイドで3対4の状態を作られ、アンカーの川崎颯太のドリブル突破から警戒していたピーター・ウタカにゴールを許してしまった。
ハーフタイムに曺監督から「もう少し思い切ってボックス内に入っていこう」と送り出された京都の選手たちの前がかりな姿勢を察知し、アラートして対応できなかったか。
安居、犬飼、小泉がポジティブだったからこそ
もちろん、ポジティブな面もたくさんあった。
非常事態のため急きょ開幕スタメンの大役が回ってきた大卒ルーキーの安居海渡が、本職のボランチではなく、トップ下のようなポジションで攻守にわたってゲームによく絡んだ。
鹿島アントラーズから加入したセンターバックの犬飼智也は、攻撃の組み立て、守備における対人プレー、空中戦で存在感を示し、岩波とアレクサンダー・ショルツのコンビに割って入れる実力を証明した。
負傷でキャンプ後半を棒に振った小泉佳穂は30分とはいえピッチに立ち、コントロールタワーとしての役割を発揮した。
だからこそ次につながるゲームであったことは間違いないが、今年の浦和はそれでオーケーというステージにいるわけではない。