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奥川雅也、伊藤洋輝、旗手怜央はなぜ招集外だったのか? 中村憲剛が森保監督の選考理由を解説《吉田・冨安の代役CBも予想》
text by
中村憲剛+戸塚啓Kengo Nakamura + Kei Totsuka
photograph byJMPA
posted2022/01/25 17:10
W杯出場に向けて正念場となるホーム2連戦で、森保一監督は招集メンバーに大きな変化を加えなかった。その意図を中村憲剛氏が解説する
ただ、「新戦力」の招集については、公式戦の前にテストマッチがある日程がベターです。テストマッチへ向けたトレーニングや実際のテストマッチで、色々な意味で新戦力のフィット感を確認できる時間的な余裕を持てるからです。後々のチームの構成を考えれば、新戦力の招集は「あり」だとつねに考えています。
しかし、今回の最終予選はすべて2連戦の日程で、テストマッチはありません。プレビュー原稿では毎回「大一番」と書いてきましたが、ホーム2連戦の今回は勝ち点6を絶対に取らなければならない戦いになります。そういう意味ではこの日程、このタイミングでチームの雰囲気や戦いかたを初めて体験する選手の招集は、現実的にかなり難しいと考えられます。
1月にセルティックへ移籍した前田は招集されましたが、同じタイミングで同クラブに加入した旗手怜央は招集外でした。そこにはふたつの違いがあると思います。アンジェ・ポステコグルー監督のもとでプレーしたことがあるかどうかと、負傷者の状況です。
森保監督も会見で言及していましたが、前田は横浜F・マリノスでポステコグルー監督の薫陶を受けており、移籍直後でもチームを離れることが大きなマイナスにはならない。古橋亨梧がケガで招集外のなかでは、試合での起用も十分に考えられます。
それに対して旗手は、ポステコグルー監督のもとで初めてプレーしています。いまはチームを離れないほうがいいと、森保監督は判断したのでしょう。そして、最終予選で主力となっている中盤の選手に離脱者がいないこと、旗手自身がまだ日本代表で試合に出ていないことが加味されたと思います。彼を起用するかどうかの可能性を、総合的に見極めての判断だったと理解できます。
日本代表は「オールスター」ではない
日本代表には様々なチームから選手が集まってきますが、そこには「日本代表としての継続性」というものがあります。その時々で調子のいい選手を、オールスターチームのように集めればいいわけではありません。
18年のロシアW杯後にチームが立ち上げられ、昨年9月からはW杯アジア最終予選を戦っています。活動のたびに招集メンバーを入れ替えて競争を促しつつも、コアメンバーを中心にみんなで作り上げてきた空気感やムードというものがあります。経験を持った選手が若い選手や新戦力の選手たちにいい声かけをして、より力を発揮しやすいグループの雰囲気を作っている、といった場面もたくさんあったと想像できます。