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木登り1日100本、20kgを背負い裸足で… 「格闘技不毛の地」北海道生まれの18歳修斗王者・西川大和の野生児ぶりがスゴい

posted2021/10/03 11:01

 
木登り1日100本、20kgを背負い裸足で… 「格闘技不毛の地」北海道生まれの18歳修斗王者・西川大和の野生児ぶりがスゴい<Number Web> photograph by Susumu Nagao

18歳にして修斗王者となった西川大和。強さの源は?

text by

布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

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Susumu Nagao

 9月20日、東京・後楽園ホールで川名“TENCHO”雄生(Y&K MMA ACADEMY)をTKOで撃破し、修斗の世界ライト級王座を奪取した西川大和(西川道場)には3つの初めてがあった。

 ひとつは西川は北海道出身で、いまだ生まれ育った札幌を練習の拠点にしているということだ。同郷で19歳まで札幌にいた筆者は知っている。北海道で格闘技をやろうと思ったら大きなハンディがあるということを。

 いまでこそ点在するようになったが、少なくとも20年前まで札幌市内には総合格闘技やキックボクシングをきちんと教えるジムや道場は皆無だった。筆者が高校生の頃などプロボクシングの興行は忘れた頃にやってくる程度。キックボクシングの興行は札幌にそのジムもなかったので開催されるはずもなかった。

 定期的にやってくるものといえば、プロレスの興行しかなかった。少なくとも「プロ」がつく格闘技をやろうとしたら、東京に出て行くしかなかった。

「大和は高校の柔道・ボクシングの選手と練習を」

 そういう状況は少しずつ改善されているとはいえ、大きな流れは変わっていない。ハッキリいうと、北海道は明らかに格闘技後進都道府県なのだ。幼少の頃から西川をマンツーマンで指導してきた父で西川道場を主宰する武彦氏は「野球やサッカーでも、やはり東京と北海道には差がある」と嘆く。

「中学で優秀な選手は高校から、高校で優秀な選手は大学から東京に行く。結局、地元には人材が残らない」

 格闘技も環境は似たり寄ったり。いまも西川の練習相手はアマチュア、しかも高校生が多い。

「大和はプロの総合格闘家とは練習しないで、高校の柔道やボクシングの選手と練習している」(武彦氏)

 武彦氏には戴冠直後に話を聞いたが、息子の快挙に「そういうことを考えたら、ちょっと今回の王座奪取は考えられない」と本音を漏らした。

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