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木登り1日100本、20kgを背負い裸足で… 「格闘技不毛の地」北海道生まれの18歳修斗王者・西川大和の野生児ぶりがスゴい
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph bySusumu Nagao
posted2021/10/03 11:01
18歳にして修斗王者となった西川大和。強さの源は?
「地元でプロとは練習していないし、有名な指導者がいるわけでもない。切磋琢磨できるような相手がいるわけでもない。どれだけ通用するのかという部分は正直未知数でした」
木登りを1日100本、20kgを背負って裸足で……
大和の唯一無二といえる財産。それは幼少の頃から地元の山を素足で駆けながら鍛え上げた強靱な脚力だろう。木登りを1日100本、20kgの錘を背負って裸足で2~3km歩く。流れに逆らうように川の中を歩く。その野生児ぶりは地元でも目立っていたのだろう。西川が3歳のときに裸足で山に登るニュースが地元メディアで大きな記事になっている。
武彦氏は「こういう結果(国内のメジャー団体で王者になること)を残すためにやってきたことなので」と振り返る。「山で会う人は『お父さんと登れていいね』『将来は登山家かい?』と声をかけてくれたけど、我々の目的は全然違っていた。はじめから総合格闘技のチャンピオンにするためのフィジカルトレーニングだった」
まさに北海道版・巨人の星。幼い頃から父と二人三脚でというストーリーは那須川天心と父・弘幸さんのそれとも重なり合う。
勝負の分かれ目は「下からの」パウンドやヒジ
ふたつ目の初めては、勝負の分かれ目となった西川の攻撃が下からのパウンドやヒジだったという点だ。総合格闘技の魅力のひとつとして、寝技になれば、マウントポジション、あるいはインサイドガード(下から相手の足が自分の足に絡んでいる状態)からのパウンドやヒジ打ちによる攻撃が勝負の流れを左右するケースが多い。
しかし、今回寝技で上になっていたのは西川ではなく、王者・川名の方だった。当然川名は上からの打撃を狙っていたが、クリーンヒット数は遥かに下から打ち返していた西川の方が上回っていた。
いったいどういうこと?
万有引力の法則に反していないか?