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木登り1日100本、20kgを背負い裸足で… 「格闘技不毛の地」北海道生まれの18歳修斗王者・西川大和の野生児ぶりがスゴい
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph bySusumu Nagao
posted2021/10/03 11:01
18歳にして修斗王者となった西川大和。強さの源は?
かつて総合格闘技やボクシングを習い、息子のために総合格闘技を研究し続けている武彦氏は、以前寝技で下になった状況について息子にこんなことを話した。
「立った状態のボクシングも寝た状態からのパウンドも同じボクシング。だから相手のパンチを防いだり、避けたりすればそんなに怖いポジションではないんだよ」
最近の総合格闘技ではテイクダウンを奪われると、ケージ(金網)を壁にして即座に立ち上がることがセオリーになっている。武彦氏の発想とは真逆ではないか。
「そうです。でも、立ったら疲れる。だったら下からディフェンスできて、下から打撃を打ったり、関節をとりにいけるだけの技術があったらそんなに怖いポジションではない。怖かったら、必要以上に緊張する。でも、今日の大和にそういうところはほとんどなかった。それがよかったんじゃないかと思います。私としても大きな自信になりました」
別に東京にケンカを売っているというわけではなく
3つ目の初めてはプロ化して32年という世界の総合格闘技マーケットでは最古の歴史を誇る修斗で、史上最年少となる18歳で世界チャンピオンになったということだ。
その言葉通り、総合格闘技は練習しなければならない項目が多いので、若くして結果を出すことは難しいといわれている。西川の戴冠はそうしたセオリーをも打ち破る快挙だった。修斗の関係者に話を聞くと、「18歳で戴冠という記録はもう破られないだろう」という意見が多数を占めた。
その件について水を向けると、西川は「最年少というより、東京に勝てたかなという気持ちの方が大きい」と語気を強めた。
「別に東京にケンカを売っているというわけではなく、地方の選手は一回でも負けると使ってもらえなくなる。地方在住者としての意地は見せられたんじゃないかと思いますね」
自分の夢を献身的にサポートしてくれる人が傍らにいて、地方のハンディを逆手にとるような頭の使い方ができれば、結果を残せる。格闘技後進都道府県の北海道・札幌在住で18歳の西川大和が残した結果は計り知れないほど大きい。北海道にいても、強くなれる。