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【非難の嵐でプレミア勢が即脱退】参加すれば260~390億円ボーナス 強欲な欧州スーパーリーグ構想は「フットボール界の内戦」 

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井川洋一

井川洋一Yoichi Igawa

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posted2021/04/21 11:04

【非難の嵐でプレミア勢が即脱退】参加すれば260~390億円ボーナス 強欲な欧州スーパーリーグ構想は「フットボール界の内戦」<Number Web> photograph by Getty Images

(左から)ユーべのアニェッリ会長、レアルのペレス会長、マンUのグレイザーオーナー。欧州SLの“首謀者”と見られている

 アメリカのメガバンク、JPモルガン・チェイス──グレイザーによるユナイテッド買収を手伝い、現在副会長に収まっているエド・ウッドワードの古巣だ──は、このスーパーリーグへ約4200億円もの資金を提供する意向を明かしている。英『フィナンシャル・タイムズ』紙によると、創設メンバーにはウェルカムボーナスとして、約260~390億円が用意されているという。

欧州SL参加の選手はW杯やEUROに出られない?

 この報を受け、UEFAのアレクサンデル・チェフェリン会長は翌日に会見を開き、ひどく立腹した様子で辛辣な言葉を並べた。彼はビッグクラブの要請に沿う形で、チャンピオンズリーグの拡大案を進めていたのだ。

「UEFAと世界のフットボール界は団結し、数少ないクラブの強欲によって導かれた、利己的で恥ずべき提案に断固として反対する。我々のこの競技は、開かれた競争、高潔さ、スポーツ的な美点によって、世界でもっとも偉大なスポーツに発展してきた。これを変えることは絶対に許されない。この冷淡なプランは、フットボールを愛する人々や社会の顔に唾を吐きかけるものだ。

 私は過去に24年間、司法弁護士を務めていた。だからこれまでに多くの物事や人物を見てきたが、こんな人々(スーパーリーグの首謀者たち)は見たことがない。彼らの強すぎる欲は、すべての人間的な価値観を無にしてしまう。彼らはすでにカネで満たされているというのに、もっともっともっと欲しがるのだ」

 チェフェリン会長は、このスーパーリーグに参加した選手たちが「W杯や欧州選手権に出場できなくなる」こともあらためて強調した。各国協会やリーグ機構との共同声明では、「この提案に同調しなかった他国のクラブ、とりわけドイツとフランスのクラブに感謝する」とも記している(バイエルン・ミュンヘンとボルシア・ドルトムント、パリ・サンジェルマンは勧誘を断ったという)。

今季CLからの“締め出し”も視野に

 またデンマークのメディア『DRスポーツ』によると、UEFA役員も務めるデンマーク協会のイェスパー・メラー会長が、来週に予定されている今季のチャンピオンズリーグ準決勝から、マドリー、チェルシー、シティを締め出す意向を示している。ヨーロッパリーグの4強に残っているユナイテッドとアーセナルの処遇を含め、今週中に審議される模様だ。

 競技発祥地イングランドでも、当然、非難の嵐が吹き荒れている。

【次ページ】 イングランドでも吹き荒れる非難の嵐

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