話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
ジブラルタルで生きる日本人選手。
欧州の端っこからCLを目指して。
posted2019/09/15 19:00
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
Shohei Tsurumi
イギリス領ジブラルタル――。
聞いたことがある名前だけど、どこだろう?
その昔、ジョン・レノンとオノヨーコが結婚式を挙げた場所……。
たいていの人はその事実さえも知らず、ぼんやりした印象しか抱いていないだろう。
ジブラルタルは、イベリア半島の南端にあるディズニーランド13個分の小さな面積で人口は3万2000人。その地でプロサッカー選手としてプレーしているのが、鶴見昌平(30)である。現地初の日本人選手としてプレーするとともに、大きなプロジェクトに挑もうとしている。
スペインのアトレティコ・マルベージャ(スペイン6部相当)でプレーしていた鶴見(旧姓・坂本)にジブラルタル・リーグのエウロパ・ポイントFCからオファーが届いたのは、昨シーズンの終了前だった。
攻撃的MFとして14得点を挙げ、その攻撃力と経験をアレン・ブラ監督(元ジブラルタル代表監督)が高く評価したのだ。
「岡崎慎司の兄弟がやってきた」
「最初、オファーをもらった時、リーグとかよく分からなかったので調べたんです。最終的にジブラルタルでプレーすることを選んだのは、欧州チャンピオンズリーグ(CL)、欧州リーグ(EL)に出場できるチャンスがあるからです。
CLは予備予選からですが、憧れの舞台でプレーできる可能性があるのは選手として非常に魅力的です。もうひとつ、今の新しいオーナーと話をして若い選手にチャンスを与えるプロジェクトに共感したのも大きいですね」
鶴見は、エウロパ・ポイントと1年契約を結んだ。
ジブラルタルで初の日本人選手が誕生すると地元の大きなニュースになった。
「岡崎慎司の兄弟がやってきた」
ジョーク交じりに、そう紹介されたという。ジブラルタルはイギリスの海外領土なので、プレミアリーグの人気が高く、レスターでプレーしていた岡崎は現地では非常に有名なのだ。