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【非難の嵐でプレミア勢が即脱退】参加すれば260~390億円ボーナス 強欲な欧州スーパーリーグ構想は「フットボール界の内戦」
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph byGetty Images
posted2021/04/21 11:04
(左から)ユーべのアニェッリ会長、レアルのペレス会長、マンUのグレイザーオーナー。欧州SLの“首謀者”と見られている
2005年、グレイザーは鉄道労働者たちにルーツを持つ欧州で最も気高きフットボールクラブのひとつを、レバレッジド・バイアウト(買収先を担保に資金を調達、つまりクラブそのものに負債を負わせて買収――その負債をクラブに支払わせながら、身銭を切らずにユナイテッドを手に入れたオーナー陣は、利益を吸い上げ続けている。高度資本主義のルールに則っているのかもしれないが、なぜそんなことが許されたのか、何度考えても腑に落ちない)という手法で私物化したが、彼は次のように話した。
「世界で最も偉大なクラブと選手を集め、シーズンを通して彼らが対戦し続けるスーパーリーグは、欧州フットボールの新たなチャプターとなる。そこではワールドクラスの争いと設備、より広い層のフットボール・ピラミッドへの経済サポートの増加が見込まれる」
ペレス会長が主張する「責任」とは
またペレスは、「我々は世界中すべてのレベルのフットボールに、救済の手を差し伸べ、正しい場所へ導く。フットボールは世界で唯一のグローバルスポーツであり、40億人のファンを持つ。我々ビッグクラブには、彼らの望みに応じる責任がある」と語った。
シティ対バルセロナ、ユナイテッド対マドリーといった豪華なカードが、シーズンの最初から最後まで毎週のように実現すれば、どうなるだろうか。
なかには毎回、期待で胸を膨らませるファンもいるかもしれないが、煌びやかすぎて目まいを起こす人もいるだろう。やがて食傷し、フットボールそのものから興味を失ってしまう可能性も否定できない。
メガバンクが4200億円資金提供で“参加ボーナス”も
そもそも、彼らの聞こえの良い言葉を鵜呑みにしようとする人は、ほとんどいないと思う。すでに信じられないほどリッチなごく少数のエリートたちだけを、さらに潤わせようとしているのは明らかだ。あるいは、マドリーが抱える900億円超とも言われる負債が、その原動力になっているのか。